住宅ローン比較コンシェル

ペアローンとは?住宅ローンの借り方「ペアローン」のメリットデメリット徹底解説

ペアローンとは?一体どのような住宅ローンのことを意味するのでしょうか?今回はペアローンについて解説します。

ペアローンとは?

ペアローンとは

夫婦共働き世帯で夫婦ともに収入がある場合に、購入する物件に対して夫婦各々が個別に住宅ローンを契約する借り方のことを言います。また、夫婦それぞれが互いの債務に対して連帯保証人になる必要があります。

※夫婦だけでなく、親子など一定の収入のある同居親族であればペアローンが利用できます。

例えば

3000万の物件購入 頭金なしの場合

夫:1500万円:持分2分の1
妻:1500万円:持分2分の1

夫:2000万円:持分3分の2
妻:1000万円:持分3分の1

夫:2500万円:持分6分の5
妻:500万円:持分5分の1

というような組み合わせ方で、自由に住宅ローン契約の割合を夫婦で分担することが可能です。

ペアローンのメリット

1.借入額が大きくなる

夫の収入:400万円
妻の収入:300万円

の夫婦の場合、仮に夫だけで住宅ローンを組んでマイホームを購入しようとした場合、借りられる額は年収の6倍程度ですから

借りられる金額 = 夫400万円 × 年収倍率6倍 = 2400万円

都内に住んでいる方であれば、2400万円では新築マンションは手が届かなくなってしまい、郊外に移り住むか、中古を検討しなければなりません。ここで妻の収入もペアローンによって契約できることになれば

借りられる金額 = ( 夫400万円 + 妻300万円 ) × 年収倍率6倍 = 4200万円

4200万円まで借りられるので、都内の新築マンションも視野に入ってくるのです。

このようにペアローンの最大のメリットは「借りられる金額が妻の収入分増えること」と言っていいでしょう。

2.住宅ローン控除(住宅ローン減税)が夫婦ともに受けられる

住宅ローン控除(住宅ローン減税)というのは、住宅ローン残高の1.0%が所得税と住民税の一部から控除されるものです。

これが適用されるのは契約者のみですから、夫だけで住宅ローンを契約した場合、住宅ローン控除(住宅ローン減税)が適用されるのは夫だけであり、妻は控除を受けることができません。

しかし、ペアローンによって、妻も住宅ローン契約をする形になれば、妻の収入に対する所得税や住民税も、妻の契約分の残高に対して最大1.0%の控除が受けられるのです。

3.団信が夫婦ともに掛けられる

団信(団体信用生命保険)は、民間銀行の住宅ローンであれば無料で付帯される生命保険です。

夫だけで住宅ローンを契約した場合は、夫が死亡したときに住宅ローンの残った借金(残債)が保険金で払われて、住宅ローンの残高が0円になり、住宅を手に入れることができます。

この場合、妻は住宅ローンとは関係がないので、妻が死亡したとしても、団信は適用されません。関係がないからです。

しかし、ペアローンを組んでいる場合は、夫婦各々が住宅ローン契約をしているので、団信も住宅ローン契約に伴い、夫婦ともに団信がかけられることになります。死亡時に支払われる保険金は夫婦各々が契約した住宅ローンの残高の範囲内に限られます。

夫婦がお互いに生命保険(団信)に無料で入れることもペアローンのメリットと言えます。

4.個別の契約なのでミックスローンのように住宅ローンの金利プランを変えられる

ペアローンは夫婦各々が個別のローン契約を結ぶため

というような金利プランの使い分けができます。

例えば、「夫は全期間固定金利にしておいて、妻は金利上昇リスクがあるが低金利の変動金利にしてリスクを分散する」というようなミックスローンのような使い方も可能です。

ペアローンのデメリット

1.諸費用が増える

ペアローンは夫婦ともに住宅ローン契約をするため、細かい諸費用が2倍になります。

事務手数料や保証料は借入額に対してなので、借入総額が変わらなければ住宅ローン契約が2本になっても、負担額は変わりませんが、抵当権設定登記に関する費用は金額は関係なく、住宅ローン契約が2本走れば、2倍になります。

2.団信の効果が弱まる

夫3000万円借入

→ 夫死亡時に住宅ローン残高は0円
→ 妻死亡時には何も変化なし

夫1500万円借入
妻1500万円借入

→ 夫死亡時に夫契約分の住宅ローン残高は0円。妻契約分の1500万円の住宅ローンは残る
→ 夫妻死亡時に妻契約分の住宅ローン残高は0円。夫契約分の1500万円の住宅ローンは残る

片方の住宅ローン残高が0円になっても、もう片方の住宅ローン残高は残ってしまうため、団信の効果が弱まってしまうデメリットがあります。

3.物件の持分で贈与税が発生する!?

3000万円の物件で

夫2000万円借入
妻1000万円借入

なのに物件の持分割合を

夫2分の1
妻2分の1

にしてしまった場合、妻はローン負担額は3分の1なのに、2分の1の財産を所有することになってしまいます。こうなると、差額の500万円分は夫から妻へ贈与が行われたことになってしまい、贈与税が発生してしまうのです。

ローン負担額と持分比率は同じ割合にしなければなりません。

3000万円の物件で

夫2000万円借入
妻1000万円借入

物件の持分割合を

夫3分の2
妻3分の1

であれば、贈与税は発生しません。

4.離婚時の処理が複雑

前述したようにペアローンでは個別に住宅ローンの契約をするため、離婚をしても、どちらも住宅ローン返済を続ける必要があります。

しかし、物件は1個ですので分割することもできません。また、お互いに連帯保証人になっているので、それを解消する必要も出てきます。連帯保証人を解消するためには他の保証人を立てる必要が出てきます。

※連帯保証人というのはどちらかが返済不能になれば、連帯保証人が返済をしなければならないものです。

色々な処理が夫だけで住宅ローンを借りた場合よりも発生してしまうのです。

5.共働きが継続できないときに夫の返済が大変になる

夫も、妻も、働き続けることを前提にして住宅ローン契約をするのがペアローンです。

しかし、「予定していなかったが出産してしまった。」というような状況が発生してしまった場合

大企業に勤務していて出産休暇や育児休暇が取れるのであれば問題ないかもしれませんが、中小企業、零細企業であればそのまま退職せざるを得ないケースが出てきます。

こうなると、妻は自分のローン契約分の返済ができなくなってしまうため、妻契約分のローン返済も、夫が返済しなければならない状況になります。

ペアローンは夫単独では借りられない金額を妻の収入を合算することで借りるものですから、この状況では夫は過大なローン返済をしなければならないということです。このようなリスクも事前に考えておく必要があります。

まとめ

ペアローンは収入合算の種類の中で最もおすすめできる住宅ローンの借り方です。ただし、メリットと同時にデメリットもいくつかあるため、十分に検討して利用することをおすすめします。