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しかし、住宅ローンを検討している方にとっては、どこなら安全ということはありませんので、どちらかというと「北朝鮮リスクによって住宅ローン金利はどうなるの?」という方が重要なのかもしれません。
今回は「北朝鮮リスクと住宅ローン金利の関係」について解説します。
世界的なリスクが増大すると円高になる!?
何はともあれ、最近の世界的なリスク増大時の為替レートを見てみます。
2011年:東日本大震災の時の為替相場
2003年:イラク戦争時の為替相場
2009年:北朝鮮のミサイル発射、核実験
結果として
一時的に円安に振れるものもあるのですが、中期的にはほぼ円高に推移している
ということになっています。
では、なぜ、世界的なリスクが増大すると円高になるのでしょうか?
世界的なリスクが増大すると円高になる理由
理由その1.世界中の投資家は金利差で商売しているから
世界情勢が安定しているとき
為替レートの変動が小さいので、外国人投資家の行動は
低金利通貨を「売って」 → 高金利通貨を「買って」 → 金利差「利ザヤ」で儲ける
世界情勢が不安定になったとき
高金利通貨の国の経営破綻リスクが出てきてしまうので
資金を元に戻す
買った高金利通貨を「売る」
売った低金利通貨を「買う」
という行動に出るのです。
低金利通貨の代表者が「日本円」ですので「円高」になるのです。
理由その2.日本の対外純資産売却が怖い!?
日本は、世界最大の対外純資産残高を持っている国です。
28年末対外純資産残高
直接投資:159兆円
証券投資:452兆円
金融派生商品:43兆円
その他投資:199兆円
外貨準備:142兆円
資産合計:997兆円
純資産合計:349兆円
349兆円の対外純資産残高があるのです。
世界中の投資家が考えることはこうです。
「もし、日本の首都などに大ダメージがあったら、対外純資産を売却して、日本円の現金にして、復興資金として使うんじゃないだろうか?」
外貨を売って、日本円にするのですから、円高が促進することになります。
日本のリスクが増えれば増えるほど「円高」に乗っかろうとする外国人投資家が増えるのです。
理由その3.「世界的リスクの増大=円高」が法則になってしまった。
過去の例を見てもわかる通りで
世界的リスクが増大すると → 円高になる
というのは、世界的な為替取引の教科書に載るレベルの法則になってしまいました。
何も考えずに、世界的なリスク上がると円を買う動きが加速するのです。
それはわかったけど「住宅ローン金利と何の関係があるの?」
「日本円」と「日本国債」は同じ動きをする
- 日本円 → 日本という国が発行している通貨のこと
- 日本国債 → 日本政府が発行している債権(借金)のこと
です。
これは日本だけの話ではありませんが
「通貨」「国債」はセットで考えるものなのです。
有事の円買い
が起きれば
同時に「日本国債」も買われるのです。
実際に
- 2017年8月29日:北朝鮮 ミサイル発射
- 2017年9月3日:北朝鮮 核実験を実施
を受けて
新発10年物国債金利は、およそ1年ぶりにマイナス金利に突入したのです。
国債は買い手が増えると金利が下がる仕組み
ですから
北朝鮮リスクが増大したので、日本国債の買い手が増えた。
ことを意味しているのです。
新発10年物国債金利は、住宅ローン金利と連動します。
つまり、
北朝鮮リスクが増大すると → 住宅ローン金利が低下する
北朝鮮リスクが後退すると → 住宅ローン金利が上昇する
という関係にあるのです。
北朝鮮リスクが増大すると住宅ローン金利が下がってハッピーになる理論とは?
北朝鮮がミサイルを発射したり、核実験を行うと
- 国債の買い手が増える
- 国債金利が下がる
- 住宅ローン金利が下がる
住宅ローンの利用を検討している方にとって、金利面だけでみるとハッピーになる
という図式が成立するのです。
「北朝鮮がミサイルを発射してくるかも知れないから、今はマンションを買うべきでない。」
というのは間違えで
「北朝鮮がミサイルを発射してくる気配が大きいから、金利が低くなる今こそマンションを買うべき!」
となるのです。
まとめ
世界的なリスクが増大すると
「日本円」「日本国債」が買われる現象が起こります。
これは、日本が当事国であっても、関係ありません。
日本国債が買われれば、国さ金利は低下し、住宅ローン金利も低下するのです。
北朝鮮リスクが増大すればするほど、住宅ローンの使い時、住宅の買い時になるのです。