「うちであれば懇意にしている銀行があるので、うち経由であれば審査も通ると思いますよ。」
というものがあります。しかし、そんなことが本当にあるのでしょうか?ここでは不動産業者からの紹介と住宅ローン審査への影響について解説します。
住宅ローン審査は銀行の収益を左右する重要なノウハウ
まず知っておかなければならないのは、住宅ローンの審査というのは、銀行にとっての最重要機密事項であり、重要なノウハウなのです。
なぜなら、審査ノウハウが高い銀行というのは、同じ申込件数でも、審査通過する割合も高いが、その中での貸し倒れ率を抑えることができます。
簡単に言えば、「本当に貸し倒れしそうな人だけをふるいにかけられる審査」が良い審査ということになります。
ただ審査に厳しいだけであれば、貸し倒れ率は下げられるかもしれませんが、実際に融資できる人も少なくなってしまい、銀行の収益が少なくなってしまうからです。
審査の良し悪しで銀行の住宅ローンによる売上というのは大幅に変動する
のです。
銀行の売上の大部分は住宅ローンが占めているため
審査の良し悪しで銀行の業績というのは大幅に変動する
とも言えます。
それほど銀行内で重要度の高いのが住宅ローンの審査ノウハウということになるのです。
住宅ローンの審査基準というのは、審査担当部署だけが知っている情報であり、ほとんどがブラックボックスになっていて、窓口業務をしている銀行員も知ることはありません。顧客に質問されてぼんやりと答えられるレベルでしか銀行員も自行の審査基準の詳細を知らないのです。
ここまで解説すれば、おわかりのとおりです。
- 支店長と知り合いなので審査に通りやすい
- うちの不動産会社は何百人もこの銀行に顧客を通しているから審査を大目に見てくれる
- 20年以上の付き合いの銀行があるので、うちに任せておけば大丈夫
・・・
上記のような営業トークのように「付き合いのある不動産会社が紹介したところで、審査が甘くなるなんてことはない」ということがおわかりになるかと思います。
そもそも、どの不動産会社でも銀行との付き合いがないところなんてないので、付き合いだからと言って審査を甘くした結果、貸し倒れ率が引き上がり、損失を膨らますなんてことを銀行がするはずがないのです。
不動産業者からの紹介に審査への影響力はない
と言っていいでしょう。
8割の銀行では、別会社の保証会社が審査をしている
さらに言えば、8割の銀行では審査をするのは保証会社です。
保証会社はグループ会社のケースもありますが、基本的には他の会社です。
銀行と不動産会社の付き合いがどれだけ深かろうが、審査をするのは別会社なので、影響力などあるはずもないのです。
まとめ
「不動産会社経由だと住宅ローン審査が通りやすくなる」ということはありません。
不動産会社から紹介された住宅ローンも、自分でウェブサイトなどで比較検討して調べた住宅ローンも、フラットにしたうえで諸条件を比較し、優先順位をつけることが重要なのです。
不動産会社から紹介された住宅ローンを選択肢から外す必要はありません。ただし、審査が優遇されるということもないので、フラットに比較検討すれば良いだけなのです。
根拠のない営業トークに騙されないように注意しましょう。