住宅ローン審査では実際の金利で審査をしない?
住宅ローンの中でいくつかの金融機関では、審査金利というものを採用しています。これは貸出金利とは異なるため、注意が必要です。
審査金利とは
実際の貸出金利とは違う審査用の金利のことを言います。
変動金利など今後の金利上昇時に金利が上がっても、返済が継続できるのか?どうか?を判断するために実際の貸し出し金利よりも、高い審査用の金利を設定して、その上で返済負担率などを算出し、自社の審査基準をクリアしているか?どうか?を見極めるのです。
利用者側にとっては、はじめに金利タイプを選んでから、住宅ローンに申込むのですが、審査をする側の銀行やノンバンクにとってみれば
一律の審査金利で審査を行い、審査が通ればどの金利タイプでも案内できる
という審査方法をとっているのです。
審査金利は市況や金融機関によって異なりますが、一般的に3.0%~4.0%ぐらいで設定されることが多いようです。
貸出金利とは
貸出金利は実際に借りるときに適用される金利のことです。
審査金利を採用している金融機関は約70%程度
住宅金融支援機構のデータによると
- 審査金利により審査:42%
- 審査金利は適用なし:31.3%
- 案件により異なる:26.7%
となっています。
つまり、案件により異なるを含めれば、全体の7割は審査金利を採用しているということになるのです。
利用者側が考えなければいけないこと
返済負担率などを計算するときに金利が低金利の変動金利などで借り入れたとしても、審査されるときは審査金利が適用されてしまうため、このぐらいならいいだろうというボーダーラインが変わってきてしまうことになります。
例えば
3000万円、35年の借入、年収300万円の方
- 貸出金利:変動金利:0.6% → 年間の返済額:950,496円
- 審査金利:3.0% → 年間の返済額:1,385,460円
です。
「返済負担率は20%が平均だけれども、審査は35%なら8割が通る」
と聞いて、予算設定をその範囲内にしようと計算した方がいても
- 貸出金利:年間の返済額:950,496円 → 返済負担率:31.6%
- 審査金利:年間の返済額:1,385,460円 → 返済負担率:46.1%
審査金利で見ると、大分、審査に通る返済負担率の基準よりもオーバーしてしまうことになるのです。
結果、返済負担率46%では審査には到底通らないということになってしまいます。
つまり、この方は他に審査的な問題がなかったとしても
- 貸出金利で審査をする銀行 → 審査通過の可能性はある
- 審査金利で審査をする銀行 → 審査通過の可能性はほとんどない
ということになってしまうのです。
まとめ
審査金利は審査用の金利で、金利上昇時のリスクを審査の時から見込んでいる金利のことを言います。
貸出金利を採用しているのか?審査金利を採用しているのか?は教えてくれない銀行がほとんどだと思います。
そのため、変動金利で、かつ返済負担率がギリギリに設定していて、審査に通らない場合には、借入額を下げてみて返済負担率を下げると審査に通る可能性が出てくるかもしれません。
住宅ローンの予算設定の際に「貸出金利」と「審査金利」の違いについては理解しておく必要があります。