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住宅ローンのリスクを正しく理解することで、住宅ローンを比較検討するときのコツもクリアになってくるのです。「不動産屋にすすめられたから」とか「いい物件があったから」すぐに住宅ローンを組むのではなく、住宅ローンという商品のメリットもリスクも把握したうえで、住宅ローン選びをしましょう。
住宅ローンのリスク
1.金利上昇による返済額上昇リスク
住宅ローンで適用される金利というのは、各銀行で金利が違うのですが、ベースは「長期金利」「短期プライムレート」「政策金利」という基準的な金利に左右されて変動するのが一般的です。
ここではその指標の説明は省きますが、簡単に言えば
- 好景気 → 金利は上がる
- 不景気 → 金利は下がる
ことになるのです。金利が半年ごとに見直される「変動金利タイプ」の住宅ローンを選んだ場合に、不景気から好景気になった時には適用されている金利が上昇する可能性があるのです。金利が上昇するということは、支払う利息が増えるということ意味します。つまり、毎月の返済額が増えるのです。
これが「金利上昇リスク」です。
不景気の低い金利の時に住宅ローンを借りて、好景気になった場合に金利が上昇してしまい、返済額が増加し払えないリスクがあるのです。好景気になった場合には給料も増えているから大丈夫という考え方もあるのですが、単純に返済額が増えることで返済負担が増えることは事実なのです。
このリスクを回避する方法
- 金利が変動しない固定金利タイプの住宅ローンを選ぶ
- 金利が変動する期間を短くするべく繰り上げ返済で早めの完済を目指す
2.収入減少リスク
終身雇用がほとんど機能しなくなっている日本社会のなかでは、収入減少のリスクというものが存在します。会社が倒産してしまった、クビになった、転職したけれども以前よりも収入が減ってしまった、産休や育休後再就職ができなかった・・・などなど収入が一時的にしろ、恒久的にしろ、減ってしまうリスクがあるのです。
収入が減っていても、住宅ローンの返済額は変わらないため、返済負担の割合だけが引き上げることになってしまいます。つまり、収入減少のリスクを踏まえて、自分の年収に見合った住宅の価格設定が重要になるのです。
通常、住宅ローンの借入が可能額は、年収の6倍~7倍が相場と言われていますが、この年収倍率を引き下げることで数乳減少リスクに対応することも可能です。
このリスクを回避する方法
- 年収に対する借入額の割合を引き下げる
- 収入が減ってしまった時に一時的に元本返済を休める住宅ローンを選ぶ
3.不動産価格の下落リスク
一般的に住宅ローン返済ができなくなってしまった場合には担保である住宅を売却することでローンを完済することになります。住宅ローンの返済が順調であれば、このリスクは発生しませんが仮に購入した住宅の不動産価値が10年住んでいたら大幅に下落していた場合には、売却しても残った住宅ローンの残債分にも満たずに「家を売ったのにローンが残ってしまう」という状況が発生してしまうケースもあるのです。
これが不動産価格(担保価値)の下落リスクです。
このリスクに対応するためには、はじめから不動産価格が下落しにくい「立地」「駅からの距離」「南向き」「駐車場有」・・・などの条件も視野に入れて住宅選びをする必要があるのです。日本全体の人口は減っていく中で、物件の供給数はかなりの量になってしまているため、これらのリスクは十分に検討する必要があるでしょう。
このリスクを回避する方法
- 不動産価格が下落しにくい条件の物件選び
4.病気・介護リスク
世帯主の方の収入を基準に住宅ローンを組むことが一般的ですが、仮に世帯主の方が病気になってしまい、働けない状態になったとしたら、住宅ローンの返済自体ができないことになります。
これが契約者が病気や介護状態になってしまうことのリスクです。
民間銀行の住宅ローンの場合は、契約者が死亡してしまった場合の返済は団体信用生命保険でリスクヘッジがされているので、死亡時よりも、病気や介護状態のときのリスクについて考える必要があります。
このリスクを回避する方法
- 疾病保障保険が付帯されている住宅ローンを選ぶ
- 介護保障保険が付帯されている住宅ローンを選ぶ
- 傷害保険が付帯されている住宅ローンを選ぶ
- 生命保険や医療保険の保険金額を増やす
5.離婚リスク
離婚する方が年々増加していると言われていますが、住宅ローンにも離婚リスクというものがあります。結婚前に住宅ローンによって住宅購入が完結していればどちらの財産かは明確なのですが、結婚後に住宅ローンを支払うということは、夫婦共有の財産ということになります。
ここで離婚することになった場合には、「どのように住宅を保有するのか?」「住宅ローンは誰が返すのか?」を決めなければなりません。しかし、住宅は真っ二つに分解できるものではないため、どうしても揉めてしまったり、トラブルになりやすいのです。
有効な対策はありませんが、このようなリスクがあることも知っておく必要があります。
6.転勤リスク
サラリーマンであれば、海外赴任や単身赴任、国内転勤など、せっかく住宅ローンを使って購入した家に住み続けられないというケースもでてきます。これが転勤リスクです。
多くの場合は、家族ごと転勤する場合には購入したマイホームを賃貸に出して、その賃貸収入で転勤先の住宅の家賃に充てるということになるのですが、厳密に言えば、住宅ローンが利用できるのはマイホームだけなので、賃貸に出すのは銀行側からするとNGなのです。
現在では、暗黙の了解で転勤時の賃貸に関しては銀行側がクレームを入れるケースがほとんどないのですが、今後どうなるかはわかりません。
まとめ
住宅ローンを比較検討する前に、上記のようなリスクがあることを把握しておくと、選ぶべき住宅ローンというのも変わってくるのです。
金利が低金利で、諸費用が安い住宅ローンというのも十分に魅力的な住宅ローンですが、上記のリスクを少しでも減らせるサービスが付帯されている住宅ローンというのも、金銭では表せない価値があるのです。
リスクを知ったうえで、公正に住宅ローンを比較検討しましょう。