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住宅ローンを物件選びをすると不動産会社に提案されることがあります。
このときに
「ネット銀行の住宅ローンってどうなんですか?」
と聞くと、大抵は
「やはり、信頼できるメガバンクで借りるべきものですよ。30年という長い間お付き合いするのですから。」
と返答が返ってきます。
これは一見もっともらしい回答に聞こえますが、これは全く見当違いの話なのです。その理由を解説します。
住宅ローンを選ぶときに銀行の信頼性など関係ない?
住宅ローンというのは「銀行(ノンバンク)からお金を借りる」サービスです。
仮に信頼性の低いネット銀行から住宅ローンを借りてしまって、そのネット銀行が倒産してしまった場合のことを考えてみましょう。
「信頼性の低いネット銀行から借りてしまったから銀行が倒産してしまったよ。」
と慌てたけれど、さて誰が困るのでしょうか?
住宅ローンはお金を貸したのではなく、借りたのです。
お金を貸してくれた銀行が倒産しても、デメリットはありません。
お金を借りた銀行が倒産しても住宅ローンの借金がなくなるわけではありません。銀行が倒産したらどこかの銀行がその債権を買取るので、その買取先の銀行に返済を続けることになります。
「買取先の銀行が設定する住宅ローンの金利条件が悪かったらどうするの?」
基本は、買取先の銀行は倒産した銀行と顧客の契約条件をそのまま引き継ぎます。いきなり契約条件が変更されるということはほぼありえないのです。
仮にそういうことが起きても、住宅ローンの良いところは借り換えをすることができることです。借り入れ条件が変更になること自体がほぼない上に、そうなっても、別の金利が低金利の住宅ローンに借り換えてしまえば問題ありません。
つまり、住宅ローンは借り先の銀行が倒産したとしても、借りている方にはデメリットはほとんどないのです。
「住宅ローン」とよく混同されてしまうの「預金」です。
「預金」は住宅ローンと違って、お金を貸して利息をもらうサービスです。ペイオフが導入されているので、1000万円までは保険によって倒産時も預金資産は守られますが、1000万円を超える分には保証されないのです。
つまり、「預金」の場合は倒産リスクの高い信頼性の低い銀行に1000万円以上預けてしまうことはリスクなのです。
「預金」は安心できるメガバンクの方が良いと考えられるのです。
本当に銀行が倒産しても、住宅ローン利用者にデメリットはないの?
強いてあげるのであれば
- 今までの銀行の担当者とは違う銀行の担当者とやりとりをしなければならない
- 元の銀行から切り替わるときに引き落とし口座の変更などの作業が必要になる可能性がある
- 元の銀行から切り替わるときにネットバンキングやマイページなどの個別のサービスが使えなくなる可能性がある
などの手間が発生する可能性があります。
銀行の信頼性って「倒産するかどうか」よりも重要なポイントはないの?
メガバンクが信頼性が高いと感じるのは、お近くに店舗があり、担当者が丁寧に接客してくれる点と言っていいでしょう。
住宅ローンも同様に、メガバンクであれば担当者がついて懇切丁寧に対応してくれます。
これを信頼性というのであれば、住宅ローンも信頼性の高いメガバンクにするという判断もひとつの考え方と言えます。
ネットバンクの場合も、コールセンターなどに連絡すれば丁寧に対応してくれますが、電話越しの対応になってしまうことに対して不安感を感じる方も多いのです。
ただし、筆者の考えでは金利が0.数%違うだけで総返済額が数百万円の差が出てきてしまうのが住宅ローンです。「顔が見える安心」というものを重視して選んだ結果、返済負担が大きくなってしまうというのはよほどお金持ち出ない限りおすすめできない住宅ローンの選び方と言えます。
まとめ
- 「住宅ローン」は銀行からお金を借りるサービス
- 「預金」は銀行へお金を貸して利息をもらうサービス
です。
「住宅ローン」の場合は銀行の信頼性が低くて、仮に倒産しても住宅ローン利用者が受けるデメリットというのはほとんどありません。
つまり、住宅ローンを比較検討するときに信頼性で比較するというのはあまり意味がないことなのです。
短絡的に
「メガバンク=安心・ネット銀行=不安」 → 「安心できるメガバンクで住宅ローンを借りよう。」
と考えないようにしましょう。
住宅ローンを比較するときは「返済負担」「金利」「諸費用」「付加価値サービス」を重視して判断することをおすすめします。