目次
住宅ローンの審査基準というのも、年々変わってきます。毎年貸し倒れする方が必ず出てくるので銀行側もデータをアップデートし、その上で「貸し倒れ率が下がる審査基準はどれなのか?」を突き詰めているため、審査基準というのも最新版にバージョンアップされていくのです。今回は「住宅ローンで最近重要度が増している審査項目」について、実際に融資を行っている民間銀行308社に行ったアンケート結果を紹介します。
住宅ローンで最近重要度が増している審査項目
出典:住宅金融支援機構 調査部
調査データ情報
- 調査時期:2015年9月~10月
- 調査対象:住宅ローンを取り扱う銀行に対するアンケート
- 調査対象件数:308社
- 調査主体:住宅金融支援機構
結果サマリー
1位は「返済負担率」で59.5%
2位は「職種、勤務先、雇用形態」で49.7%
3位は「借入者の社会属性」で35.5%
昨年対比で上昇しているのは「職種、勤務先、雇用形態」「借入者の社会属性」「預貯金や資産の保有状況」
昨年対比で減少しているのは「返済負担率」「借入比率」
住宅ローンの審査に生かせるポイント
最も重要視しなければならないのは「返済負担率」
審査の許容範囲が広い住宅ローンが増えてきていますが、それでも住宅ローン審査で最も重要視されるのは依然として「返済負担率」ということです。
- 返済負担率 = 1年間の返済額 / 年収
- 返済負担率 = 毎月の返済額 / 月収
で計算されるため「収入のうち、どのくらいの割合でローン返済に回すことになるのか?」を判断する指標となっています。
- 平均値:20%~25%
- 許容範囲:35%以下
です。
要するに「収入の3分の1がローン返済になるような借り入れはできない。」ということを意味しているのです。
また、注意しなければならないのは、この返済負担率を算出するための「ローン返済額」というのは住宅ローンの返済額だけでないということです。
現在借入中の無担保ローンがあるのであればそれも合算して計算しなければなりません。
- カードローン・キャッシング
- クレジットカードのキャッシング
- クレジットカードのリボ払い
- 学生ローン
- 教育ローン
- 携帯電話の割賦払い
・・・
などです。
※担保がある自動車ローン、不動産担保ローンは別枠になります。
銀行は、この返済負担率が「貸し倒れ率」に一番影響する指標だと考えているのです。
返済負担率が35%を超えてしまうことで、住宅ローン審査に通らない方は
- 返済負担率を下げる
ことを重視するべきです。
- 借入額を少なくして、ローン返済額を下げる
- 他のローンを完済して、ローン返済額を下げる
- 副収入を増やして、収入を上げる
- 夫婦の収入合算で、収入を上げる
・・・
等、いろいろな選択肢があります。
「職種、勤務先、雇用形態」の存在感も強くなっている
終身雇用が崩壊していて、転職や起業が一般的になっている現代では、逆に住宅ローン審査で「職種、勤務先、雇用形態」の存在感が増えています。
収入が安定している
- 公務員
- 年俸制の役職者
- 上場企業
- 勤続年数が長い
はかなり住宅ローン審査で優遇されることになります。
審査が難しくなってしまうのは
収入の安定性が低い
- 勤続年数が短い
- 中小、零細企業
- 契約社員
- 自営業
- 歩合制の職種
などが厳しい現状にあります。
年々、収入の安定性に対する審査は厳しくなっている印象です。
すぐに収入を安定させるのは難しいかもしれませんが、勤続年数を伸ばすことで、中小企業、零細企業、自営業であっても、住宅ローン審査に通る可能性があります。
重要度が高まる「借入者の社会属性」
借入者の社会属性も、貸し倒れ率への影響度が高いと銀行は考えているようです。
借入者の社会属性とは?
- 家族構成
- 居住年数
- 転居回数
- 結婚歴
- 保険証の種類
などです。
例えば
- 離婚経験者の方が貸し倒れになるリスクが高い
- 転居回数の多い方は貸し倒れになるリスクが高い
というようなデータを銀行側は保有していて、この社会的な属性は貸し倒れと「因果関係が強い」と考えられな、近年住宅ローン審査での重要度が高まっているのです。
ただし、社会的属性は今更変えられるものでもないので、他の審査の評価を高くする意外に方法がありません。
まとめ
住宅ローンで最近重要度が増している審査項目とは
- 返済負担率
- 職種、勤務先、雇用形態
- 社会的属性
の3つです。その中でも、「社会的属性」を住宅ローン審査で重視する銀行が増えてきているようです。