graphline128_128

住宅ローンでは当初固定金利というのが注目されています。

しかし、当初固定金利ほど比較するのが難しい金利タイプはないのです。ここせは当初固定金利を比較検討するときの注意点について解説します。

当初固定金利は当初期間の金利だけが書いてある!!

当初固定金利の住宅ローンを見ると・・・

住信SBIネット銀行の住宅ローンの場合

2015年6月時点

ネット専用住宅ローン適用金利 <当初引下げプラン>

  • 当初10年固定金利:年 0.90%
  • 当初特約期間:基準金利からの引下げ幅 年 – 1.70%
  • 特約期間終了後:基準金利からの引下げ幅 年 – 0.70%

と書いてあります。

これが何を意味するかおわかりでしょうか?

「当初10年の固定金利期間が終了したら、金利は自動的に1.0%高くなりますよ。」

ということが書いてあるのです。

もう少し詳しく解説すると

そもそも、住宅ローン金利というのは基準金利というものがあって、それを基準に住宅ローンは提供されているのですが、適用される金利というのはすべての銀行でこの「基準金利から○○%引き下げた優遇金利」という方法が採用されているのです。

じゃあ、基準金利を下げればいいじゃないか?と思うのですが、業界的に基準金利と実際に適用される優遇金利が切り分けて運用されているのです。

当初10年固定金利の場合、今の基準金利は決まっているので当初10年間の固定金利が何%かは明確に提示できるのですが、10年後の当初期間終了後の金利は基準金利がどうなっているか?わからないので何%と明確に提示することはできず、「当初期間終了後は基準金利から何%優遇しますよ。」ということしか書いていないのです。

前述の例の場合

当初10年間は基準金利から「年 – 1.70%」するので「年 0.90%」
当初期間終了後は基準金利から「年 – 0.70%」しますよ。

ということがかかれているのです。

引き下げ幅が「年 – 1.70%」から「年 – 0.70%」に1.0%も減ってしまっているのです。引き下げ幅が1.0%下がるということは金利が1.0%上がるということを意味します。ほかの金利タイプにする場合は、その金利タイプの基準金利から引下げることになるため、1.0%の上昇ではないケースがあります。

つまり、この例の場合は当初期間終了後に基準金利がどうなっていようとも、金利が1.0%上がるのです。

しかし、この事実を理解したうえで住宅ローンを比較できる人は少なく、そもそも当初10年間の「年 0.90%」にばかり大きく表示されていて、見る人もそれだけで比較してしまいがちなのです。

ちなみに基準金利も、銀行によって金利が異なります。どの銀行でも当初固定金利は「基準金利から○○%引下げ」と書いてありますが、この「基準金利」は銀行によって違う金利であることを理解しましょう。引き下げ幅が大きくても、その銀行の「基準金利」が高い場合、実際に適用される金利は高い可能性があるのです。

当初期間終了後の期間の方が長い!

忘れてしまう方も多いのですが・・・

30年の住宅ローンを組んだとしたら

当初10年固定金利の当初期間10年よりも、当初期間終了後の20年の方が2倍も長いのです。

当然、当初期間終了後の金利の方が重要度が高いということになります。しかし、ほとんどの方はそれを考えずに当初期間の金利で住宅ローンを比較してしまうのです。

これでは本当にお得な住宅ローンを選べているとは言えないのです。

実際の住宅ローンで総返済額を比較してみると

35年 3000万円借入 金利変動なし 当初期間終了後変動金利にした場合

住信SBIネット銀行 当初引下げプラン

  • 当初10年間 0.90% [基準金利から年 – 1.70%優遇]
  • 当初期間終了後 2.075% [基準金利から年 – 0.70%優遇]

総返済額:約3,839万円

auじぶん銀行 当初金利引下げプラン

  • 当初10年間 1.230% [基準金利から年 – 2.420%優遇]
  • 当初期間終了後 1.055% [基準金利から年 – 1.620%優遇]

総返済額:約3,643万円

と当初10年間の金利だけで比較すると住信SBIネット銀行の方が有利ですが、当初期間終了後の金利も含めて比較するとauじぶん銀行の方が有利になるのです。

これは当初期間終了後の金利がauじぶん銀行の方が低金利だから起こるものです。

このように当初期間の金利だけで比較すると損をしてしまう可能性があるのです。

まとめ

当初固定金利というのは

「当初期間の金利」と「当初期間終了後の金利」の両方を確認して比較する必要があります。

しかし、このままでは比較のしようがないため、総返済額を算出してお得度を比較するのがおすすめの方法なのです。

当初期間の金利だけで比較するのは大きな間違えなのです。