民間銀行の住宅ローンとフラット35の違いを比較

住宅ローンを比較検討するときに、民間銀行の住宅ローンとフラット35というものがあることを知ると思います。CMなどでご存知の方もいるかもしれませんが、フラット35と民間銀行の住宅ローンの本当に違いについて知っている方は少ないのが原状です。ここでは民間銀行の住宅ローンとフラット35の違いを比較します。

その１．運営主体が違う

民間銀行の住宅ローンというのは、文字通り民間の企業である銀行が提供している住宅ローンです。

一方、フラット35というのは国土交通省住宅局と財務省に管轄されている独立行政法人「住宅金融支援機構」が提供する住宅ローンなのです。

簡単に言えば、フラット35は国が運営している住宅ローンなのです。

フラット35は「住宅金融支援機構」が販売することはなく、民間銀行が「住宅金融支援機構」の商品を代行販売しているような形になります。ほとんどの民間銀行でフラット35も販売されているのです。

運営主体は違うのですが、銀行は自行の住宅ローンとフラット35の両方を取り扱っていることになります。

民間銀行の住宅ローンは「変動金利」「当初固定金利」「全期間固定金利」等がありますが、フラット35の場合は「全期間固定金利」のみです。

団体信用生命保険「団信」は、契約者が死亡してしまった場合に残りの債務がゼロになる生命保険の一種です。

一家の大黒柱である世帯主がなくなってしまっても、住宅だけはローンなしで配偶者のものになる仕組みなのです。

民間銀行の住宅ローンの場合には、団体信用生命保険「団信」は強制加入で絶対に加入しなければなりません。しかし、費用は銀行負担で0円なのです。

しかし、フラット35の場合は団体信用生命保険「団信」の加入は任意加入になっています。加入しなくても構いません。ただし、加入する場合には団信特約料という加入料を支払わなければなりません。3000万円の借入で約200万円ほどの団信特約料が発生します。

前述した団信のことだけを見ると「フラット35の方が損じゃないの？」と思ってしまいますが

実際にメリットもあり、フラット35の方が0.2％～0.3％ほど金利が低金利なのです。

民間銀行の住宅ローンは団信が無料といっても、実際には金利に含まれているだけなのです。団信が外すことができるフラット35は団信がない分金利が低金利と考えられるのです。

民間銀行の住宅ローンとフラット35で一番違うのは「住宅ローン審査の通りやすさ」です。

民間銀行の住宅ローンの場合は、利益を出さなければならないため貸したお金が返ってこない「貸し倒れ」は絶対的に避けなければならないものです。

だからこそ、返済能力や信用、不動産の担保価値を徹底的に調査し、審査するのです。

しかし、フラット35は国の機関です。利益も出す必要はあるのですが、そこは民間の銀行の精度とは比べるまでもないのです。

国の住宅ローンなので「貸し倒れリスクがあるか？ないか？」という審査ではなく、「フラット35の規定に則した住宅か？どうか？」という審査になっているのです。

そのため、多くの民間銀行では、自社の住宅ローン審査に通らない人にフラット35をすすめるケースが多いのです。

最近では、フラット35の貸し倒れ率の高さが問題になっているため、今後は審査が厳しくなる可能性もあります。

比較項目	フラット35	民間銀行の住宅ローン
用途	居住用住宅購入資金＋リフォーム費用	居住用住宅購入資金＋リフォーム費用＋諸費用
借入可能額	物件価格の最高100％＋リフォーム費用	物件価格の最高100％＋諸費用＋リフォーム費用
金利タイプ	全期間固定金利	変動金利一定期間固定金利全期間固定金利
借入期間	15年～35年、50年	1年～35年
適用住宅条件	住宅の床面積が、以下の住宅・一戸建て住宅、連続建て住宅、重ね建て住宅の場合：70m2以上・共同建ての住宅(マンションなど)の場合：30m2以上	一律の制限なし
保証人	不要	保証会社の保証が必要
借り換え	可能	可能
事務手数料	借入総額の2％（税別）	借入総額の2％（税別）　or 3万円（税別）
保証料	無料	無料　or 金利＋0.2％
団体信用生命保険	任意加入：有料200万円ほど	強制加入：無料
火災保険	必須加入	原則必須加入
繰上返済手数料	無料	無料がほとんど
繰上返済条件	100万以上での繰上返済	1円～から可能
審査	通りやすい	条件次第。厳しいケースも多い
審査されるポイント	住宅の適用基準に合致しているか？	返済能力があるか？
審査主体	住宅金融支援機構	各民間銀行　or 保証会社