目次
- 1 【住宅ローン滞納開始から1か月目】手紙や電話での督促
- 2 【住宅ローン滞納開始から2か月目~3か月目】来店依頼状、督促状が届く
- 3 【住宅ローン滞納開始から3か月目】催告書が届く
- 4 【住宅ローン滞納開始から3ヶ月~6か月】期限の利益喪失の通知が届く
- 5 【住宅ローン滞納開始から7ヶ月~】代位弁済通知が届く
- 6 【住宅ローン滞納開始から8ヶ月】差押通知書が届く
- 7 【住宅ローン滞納開始から9ヶ月】競売開始決定通知書が届く
- 8 【住宅ローン滞納開始から10ヶ月】執行官による現況調査
- 9 【住宅ローン滞納開始から13ヶ月~16か月】競売の期間入札通知書が届く
- 10 【住宅ローン滞納開始から17ヶ月】競売開始
- 11 【住宅ローン滞納開始から18ヶ月~】退去
- 12 まとめ
「住宅ローンって払えない時はどうなるのか?」という借りる前に素朴な疑問がある方も、すでに返済が苦しくなっている方も「支払えない時、どうなるのか?」正確に理解している方はほとんどいません。今回は「支払えない時の銀行の対応と流れ」について解説します。
【住宅ローン滞納開始から1か月目】手紙や電話での督促
通知書:住宅ローン支払いのお願い
返済をしなくなっても、いきなり出て行けと言われるわけではありません。はじめの1ヶ月~2ヵ月は銀行から電話や郵送、メールで「住宅ローン支払いのお願い」という趣旨の督促が届きます。
【住宅ローン滞納開始から2か月目~3か月目】来店依頼状、督促状が届く
来店依頼状:「来店して説明してください。」という通知
督促状:返済を求める強い請求書
2ヵ月延滞しはじめると「銀行へ来店して返済が延滞している理由を説明してください。」という趣旨の来店依頼状、督促状が届きます。
督促状というのは、競売申立て等の権利を行使するための前提となる書類ですので、今までの通知書よりも、重い書類になってきます。
【住宅ローン滞納開始から3か月目】催告書が届く
催告書:法的手続きを取る最終通告
督促状を送っても、返済されない場合、または連絡が取れない場合は催告書が届きます。催告書は、「今までの滞納分の金額を一括で支払わなければ法的手続きを摂りますよ。」という最後通告です。
【住宅ローン滞納開始から3ヶ月~6か月】期限の利益喪失の通知が届く
期限の利益喪失の通知:「全額を一括で返済してください。」という請求
住宅ローンでは契約時に借金を分割して支払うことを約束しています。このことを「期限の利益」と呼ぶのです。「分割払いができる権利」のようなものです。
住宅ローンの契約では、毎月分割払いで決められた金額を支払うことを前提に契約しています。しかし、返済が契約通りに行われない場合は「期限の利益」を喪失するとも契約書に記載されているのです。
「返済しないのであれば契約違反だから分割払いではなく、全額一括で返済してください。」
というのが「期限の利益喪失の通知」です。
一般的に住宅ローンでは合計6回の滞納で「期限の利益喪失」としている銀行が多いようです。6か月の滞納ではなく、合計6回ですので注意が必要です。1ヶ月の滞納でも、6回あれば一括返済を求められてしまうのです。
【住宅ローン滞納開始から7ヶ月~】代位弁済通知が届く
代位弁済通知:保証会社が代わりに返済(代位弁済)したことに対する通知
期限の利益喪失の通知が来て「一括で返済してください。」と言われても、一括で数千万円の住宅ローンを返済できる人は、そもそも返済遅延にならないのでほとんどの方は支払うことができず、保証会社が代位弁済(代わりに銀行に返済)することになります。
保証会社とは、銀行から保証料をもらう代わりに、返済できない方がいた場合に代わりに返済する義務を負う会社で銀行とは保証委託契約を結んでいるのです。
保証会社が代位弁済してくれたとしても、住宅ローンの借金がなくなるわけではありません。
この時点で債権は銀行から保証会社に移行します。今後は、保証会社から請求が来ることになるのです。
【住宅ローン滞納開始から8ヶ月】差押通知書が届く
差押通知書:担保であるマイホームの差押えの通知。裁判所から届く
保証会社に債権が移っても、返済が進まない場合は当然のように保証会社は裁判所に競売の申し立てを行います。
競売というのは、裁判所が債務者の財産を差し押さえて、売却した代金を債権の回収に充てる手続きのことです。
保証会社にしてみれば「返済する見込みがないなら、担保である不動産を売却して少しでも回収しよう。」と考えるタイミングということです。
物件が差押えされると法務局の登記簿謄本に記録されるため、自分の意思では不動産の売却ができなくなるのです。
差押え後でも、残りの債務を一括返済することができれば差押えの解除が可能です。
【住宅ローン滞納開始から9ヶ月】競売開始決定通知書が届く
競売開始決定通知書:債権者が申し立てた競売を裁判所が受理した通知
債権者が申し立てた競売を裁判所が受理した通知を競売開始決定通知書と言います。
【住宅ローン滞納開始から10ヶ月】執行官による現況調査
執行官による現況調査というのは、競売で落札する方が見る物件情報の資料作りのための調査です。競売で買う人は投資家や不動産業者になりますが、何も情報がないといくらで入札しても良い物件なのかの評価ができないため、自宅での写真撮影、聞き取り調査などが行われます。協力しなくても、勝手に鍵を開けて調査されてしまいます。
【住宅ローン滞納開始から13ヶ月~16か月】競売の期間入札通知書が届く
競売の期間入札通知書:入札開始日、入札終了日の決定通知
その名の通り、競売が開札される期間が決まったという通知です。
【住宅ローン滞納開始から17ヶ月】競売開始
入札期間中に一番高い金額を入札した方、かつ入金をした方が不動産の購入者になります。代金の支払い確認された後、所有権の移転が行われます。
【住宅ローン滞納開始から18ヶ月~】退去
所有権の移転が終わったら、退去しなければ不法占拠者となってしまいます。自らの意思で退去しなければ強制的な退去になります。
まとめ
住宅ローンを借りる方が知っておかなければならないのは
- 住宅ローン滞納が続けば強制退去になる可能性が出てくる
- 1回、2回の数日の滞納では問題にはならない
- 合計6回の滞納で一括返済を迫られる
- 強制退去までは1年半ほどの猶予がある
ということです。
住宅ローンというのはマイホームを担保にしてお金を借りている状態ですので、完済するまでは厳密に言えばマイホームではないのです。
滞納が続けばマイホームを失うリスクがあることを理解したうえで、間違って滞納をしてしまったとしても「住宅ローン支払いのお願い」という程度の軽い通知の段階で早急に支払うことをおすすめします。数日の滞納であっても、6回続くと一括返済を求められることも注意が必要です。