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住宅ローンを比較検討しているときに困ってしまうのが「基準金利」「優遇金利」「店頭金利」「適用金利」「引き下げ金利」・・・ってどれが何?と混乱してしまい、正確に住宅ローンの比較検討をすることができないという方も少なくないのです。ここでは住宅ローンの金利の呼び方と種類について解説します。
住宅ローンの「基準金利」(店頭金利)
住宅ローンの「基準金利」とは金融機関が市場動向(経済状況)に合わせて自由に決定している住宅ローン金利のことです。金融機関が自由に設定する金利なので、金融機関ごとに違いがあります。
この「基準金利」のことを「店頭金利」とも呼びます。
「基準金利」は住宅ローンの定価
例えば、ノートパソコンを買おうとしたらメーカーが決めた定価が15万円となっていたとしても、実際の家電量販店で売られている価格は15万円ではないはずです。実際の販売価格は「定価よりも5万円割引で10万円」という形で割引が入って売られているものです。
住宅ローンも全く同じ形で、定価である「基準金利」はメーカーである銀行が決める住宅ローンの定価のことを意味します。
ややこしいのはノートパソコンであれば同じ商品であれば、定価はいつまでたっても同じですが、住宅ローンの場合には、経済状況によって定価が変動するということなのです。
- 景気が良くなれば 定価である基準金利は高く設定されます。
- 景気が悪くなれば 定価である基準金利は低く設定されます。
住宅ローンの「優遇金利」(引き下げ金利)
住宅ローンの「優遇金利」というのは、定価である「基準金利」から引き下げて提供される住宅ローンの金利のことを意味します。
前述したようにノートパソコンでは定価が15万円となっていたとしても、実際の家電量販店で売られている価格は15万円ではないはずです。実際の販売価格は「定価よりも5万円割引で10万円」という形で割引が入って売られているものです。
住宅ローンも同じように定価である「基準金利」で販売されることはほとんどありません。そこから値引きをした「優遇金利」で提供されるものなのです。
「優遇金利」は「基準金利」からマイナス0.5%というような引き下げ割合を記載して表示されることが多く、「引き下げ金利」と呼ばれることもあります。
住宅ローンの「適用金利」
住宅ローンの「適用金利」というのは、実際に住宅ローンを契約し、借り入れをする時に適用される金利のことです。
ほとんどのケースで「適用金利」=「優遇金利」となるのですが、なかには「優遇金利」に幅が設定されているケースがあるのです。
「優遇金利」=0.8%~1.0% ※審査によって決定
という形になっていて、審査の結果0.9%が適用されることになれば、「適用金利」は0.9%ということになるのです。ただし、「優遇金利」のことを「適用金利」と呼ぶケースもあります。
メガバンクの金利表記例
みずほ銀行の変動金利の場合 2015年7月時点
- 基準金利 2.475%
- 引き下げ幅 -1.4%~-1.7%
- 優遇金利 1.075% ~ 0.775%
となっています。
基準金利から割引をして適用金利になっているのがわかるかと思います。
なぜ「基準金利」と「優遇金利」があるのか?
なぜ「基準金利」と「優遇金利」があるのか?はじめから「優遇金利」でいいんじゃないの?と思う方が多いと思いますが、住宅ローンの場合には金利の変動があるのです。
そのため、市況によって変動する「基準金利」を基本として
各金利タイプや金利プラン別に「引き下げ幅(優遇幅)」を調整する形の方が管理がしやすいということからこうなっているのです。
前述のみずほ銀行の変動金利の例では
- 基準金利 2.475%
- 引き下げ幅 -1.4% ~ -1.7%
- 優遇金利 1.075% ~ 0.775%
となっていましたが、好景気になって日銀が民間銀行に貸す金利が上がってしまえば
- 基準金利 2.875%
- 引き下げ幅 -1.4% ~ -1.7%
- 優遇金利 1.475% ~ 1.175%
というように金利が上昇することもあるのです。しかし、引き下げ幅を顧客に対してコミット(約束)する形にしているため、引き下げ幅は変わらずに「基準金利」と「優遇金利」だけが変わることになるのです。
住宅ローンでは、金利が景気によって変動してしまうため、銀行は住宅ローンの金利を約束するのではなく、基準金利からの引き下げ幅を約束する形で商品を提供しているのです。
そのため、金利に呼び方が色々できてしまい複雑になってしまっているのです。
住宅ローンを比較する場合には「優遇金利」「適用金利」と「引き下げ幅」を重視する
住宅ローンを比較するときには「基準金利」で比較しても意味がありません。
ほとんどの銀行は横並びの「基準金利」を用意しているのです。「基準金利」ではなく、引き下げ後の実際に適用される「優遇金利」で比較する必要があるのです。
当初固定金利を比較する場合には「引き下げ幅」が重要になります。
当初10年固定金利の場合
- 当初10年間は「引き下げ幅:-1.2%」
- 11年目以降は「引き下げ幅:-1.0%」
というように当初期間終了後は引き下げ幅が少なくなるものが多いからです。当初期間の引き下げ幅だけを見て決めてしまうと、当初期間終了後の金利が高くなってしまって、他の住宅ローンよりも総返済額が大きくなってしまうというケースもありうるのです。
住宅ローンA
- 当初10年間は「引き下げ幅:-1.2%」基準金利 2.4% 優遇金利 1.2%
- 11年目以降は「引き下げ幅:-1.0%」基準金利 2.4% 優遇金利 1.4%
住宅ローンB
- 当初10年間は「引き下げ幅:-1.5%」基準金利 2.4% 優遇金利 0.9%
- 11年目以降は「引き下げ幅:-0.7%」基準金利 2.4% 優遇金利 1.7%
住宅ローンAと住宅ローンBでは、基準金利が同じであっても、大きく意味が違うのです。一見、当初10年間の金利だけ見ると住宅ローンBの方が有利に見えますが、当初期間終了後は住宅ローンAの方が低金利になるため、どちらも借入額や総返済額を試算してから比較しないと一概にどちらがお得かはわからないのです。
まとめ
住宅ローンの金利には
- 定価:基準金利(店頭金利)
- 販売価格:優遇金利(引き下げ金利)
- 値引き幅:引き下げ幅
というものがあります。家電製品などに置き換えて考えてみるとわかりやすいかと思います。家電を選ぶときに定価で比較する人がいないのと同じで、住宅ローンでは「基準金利」ではなく、「優遇金利」で比較しなければならないのです。