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「フラット35を比較するならどこが良いの?」
「フラット35だけを扱う会社ってどこがあるの?」
「モーゲージバンクと銀行は何が違うの?」

銀行であれば、常日頃から預金という形でお世話になっているため、〇〇銀行と聞けば、ある程度のイメージがわきますが、ことモーゲージバンクになると、住宅ローン以外は取り扱っていないため、なかなか「どんな会社があるのか?」「どこを選ぶべきなのか?」良くわからないのが実態です。今回はフラット35のみを取り扱う住宅ローン専門会社(モーゲージバンク)について解説します。

モーゲージバンクとは?

モーゲージバンクとは

預金機能などの銀行機能を有しないで、住宅ローンの販売に特化した金融機関のこと

を言います。

なぜ、このような金融機関があるかというと2003年に住宅金融支援機構が「フラット35」というサービスを作ったからです。

一般的に銀行は、個人や法人から預金を集めて、その資金を住宅ローンという形で融資をすることで、その利ザヤが収益となります。

低金利で借りて、それよりは高い金利で貸すことで利益を上げる

のが銀行です。

しかし、「フラット35」というサービスは、独立行政法人である住宅金融支援機構が投資家からお金を集めて、代理店(銀行)を通して販売する住宅ローン商品です。

つまり、融資する資金がない会社でも、「代理販売」という形で収益があげられる住宅ローン商品が「フラット35」であり、「フラット35」を登場したからこそ、銀行のような資金調達機能がないモーゲージバンクが登場してきたのです。

現時点では、フラット35のシェアは、モーゲージバンクが8割を占めています。

「フラット35」と言えば「モーゲージバンク」というほど、「フラット35」と切っても切り離せない関係にあるのです。

銀行ではなくモーゲージバンクを選ぶ理由

「フラット35」は、銀行経由でも、モーゲージバンク経由でも、契約することができます。

「フラット35」を提供しているのは、住宅金融支援機構であり、取り扱い金融機関として、銀行やモーゲージバンクが販売しているだけの話ですので、銀行やモーゲージバンクは代理店ということになります。

「フラット35」の金利は、住宅金融支援機構が決定するため、取扱金融機関が金利を決定することはほとんどできません。

※建前上は、住宅金融支援機構が決定する金利には「幅(〇〇%~△△%)」が設けられているため、その中の金利であれば、取扱金融機関が金利を設定することができますが、ほとんどの取扱金融機関が金利を「下限金利」に設定しているため、どの金融機関が販売しているフラット35も、同じ金利になるのです。

「金利が同じなら、どこから入っても同じでしょ?なぜ、モーゲージバンクが必要あるの?」

という疑問が当然でてきますが、どこに銀行ではなくモーゲージバンクを選ぶ理由があるのでしょうか?

理由その1.銀行は自分の商品を優先的に販売するから

銀行でも、「フラット35」を販売しているのは、前述したとおりですが

販売の優先順位は

自行の住宅ローン > フラット35

になるのです。

フラット35は、代理販売商品ですから、利幅が少ないのです。

銀行の販売スタンスとしては

  1. まずは自行の住宅ローンをすすめる
  2. 自行の住宅ローン審査に落ちた方にはフラット35をすすめる

というのが一般的です。

本来、フラット35を利用した方が良い方でも、銀行に相談に行けば、まずは「フラット35」ではなく、「自行の住宅ローン商品」をすすめられてしまうというデメリットもあるのです。

最近では、ネット銀行の台頭により、ネット銀行のウェブサイトから、直接「フラット35」を申込むこともできるので、このようなケースは少なくなっていますが、メガバンクや地方銀行では、いまだに上記のようなスタンスで住宅ローンが提供されているのです。

はじめから、「フラット35」を希望する方の場合は、モーゲージバンクの方が良い

ということになります。

理由その2.銀行よりも、事務手数料が安いケースがある

一概に言えませんが・・・

メガバンク、地方銀行のフラット35の手数料

  • 事務手数料:3万円(税別)、保証料:金利に+0.2%上乗せ

ネット銀行のフラット35の手数料

  • 事務手数料:借入額の1.0%~2.0%(税別)

モーゲージバンクのフラット35の手数料

  • 事務手数料:借入額の1.0%~2.0%(税別)

最近では、ネット銀行も、モーゲージバンクと同水準まで手数料を落とすところが増えてきましたが、保証料で金利に上乗せされてしまう、メガバンクや地方銀行よりは、手数料が安く設定されていることが多いのです。

知名度の低いモーゲージバンクほど、手数料を下げないとお客さんが集まらないのですから、手数料が有利になるのです。

理由その3.自己資金分のローン商品がある

フラット35というのは

  • 融資率90%以上(自己資金10%以上)
  • 融資率90%未満(自己資金10%未満)

で金利が大きく異なります。

2017年11月の金利で比較すると

【フラット35】 借入期間:21年以上35年以下

  • 融資率90%以上(自己資金10%以上):年1.370%
  • 融資率90%未満(自己資金10%未満):年1.810%

と、金利が0.44%も変わってくるのです。

これでは、頭金が用意できる人と、用意できない人では

3000万円の借入だとしても、

融資率90%以上(自己資金10%以上):年1.370%

総返済額:37,781,718円

融資率90%未満(自己資金10%未満):年1.810%

総返済額:40,520,835円

ですから、2,739,117円も、返済額が増えてしまうのです。

そこで、モーゲージバンク各社は、この1割分はモーゲージバンクから別のローンで融資をすることで、「融資率90%以上(自己資金10%以上)」でフラット35を利用できるプランを用意してくれているのです。

自己資金が1割に満たない方は、モーゲージバンクのプランの方が低金利でフラット35を利用できることになります。この仕組みを「パッケージローン」と呼ぶことが多いようです。

このような理由があるからこそ、「フラット35」を検討しているのであれば、銀行でなく、モーゲージバンクを選ぶ理由が出てくるのです。

フラット35のみを取り扱う住宅ローン専門会社(モーゲージバンク)まとめ

※2017年11月時点の情報で比較しています。金利は最新の金利をご確認ください。

住宅金融支援機構が決定する金利

【フラット35】 借入期間:21年以上35年以下(団信加入)

  • 9割以下:年1.370%~年1.990%
  • 9割超:年1.810%~年2.430%

ARUHI(アルヒ)

ARUHI(アルヒ)の概要

ARUHI(アルヒ)は、フラット35の取り扱いシェア7年連続No.1の国内最大手のモーゲージバンクです。元々は、SBIモーゲージという社名で、SBIホールディングス傘下のSBIグループのモーゲージバンクでしたが、2014年にカーライル・グループのCSMホールディングスに筆頭株主が後退し、社名をアルヒ株式会社に変更しました。

ARUHI(アルヒ)のフラット35金利

【フラット35】 借入期間:21年以上35年以下(団信加入)

9割以下:年1.370%
9割超:年1.810%

ARUHI(アルヒ)の手数料

借入額の2.0%(税別)

ARUHI(アルヒ)の他のモーゲージバンクにない特徴

  • 事前審査:最短即日、本審査:最短3営業日という融資スピード
  • ARUHIの店舗で相談が可能

https://www.aruhi-corp.co.jp/

優良住宅ローン

優良住宅ローンの概要

株式会社優良住宅ローンは、2005年に設立された独立系のモーゲージバンクです。本社は東京都新宿区にあり、全国13都市に展開しています。

優良住宅ローンのフラット35金利

【フラット35】 借入期間:21年以上35年以下(団信加入)

9割以下:年1.370%
9割超:年1.810%

優良住宅ローンの手数料

(性能表示物件の場合) 借入額の0.5%
(非性能表示物件の場合)借入額の0.8%

優良住宅ローンの他のモーゲージバンクにない特徴

  • 手数料がかなり安い

http://www.yuryoloan.jp/

日本モーゲージサービス

日本モーゲージサービスの概要

日本モーゲージサービス株式会社は、2005年に設立された独立系のモーゲージバンクです。

日本モーゲージサービスのフラット35金利

【フラット35】 借入期間:21年以上35年以下(団信加入)

9割以下:年1.370%
9割超:年1.810%

日本モーゲージサービスの手数料

借入額の1.945%(税別)

日本モーゲージサービスの他のモーゲージバンクにない特徴

  • 資金計画シミュレーションなど書類関係をWEBからダウンロードできる

http://www.m-s-j.jp/

日本住宅ローン

日本住宅ローンの概要

日本住宅ローンは、積水ハウス株式会社、大和ハウス工業株式会社、住友林業株式会社、積水化学工業株式会社、日立キャピタル株式会社・・・とそうそうたるハウスメーカーが出資したモーゲージバンクです。

日本住宅ローンのフラット35金利

【フラット35】 借入期間:21年以上35年以下(団信加入)

9割以下:当初10年 年1.380%、11年目以降 年1.63%
9割超:当初10年 年1.820%、11年目以降 年2.07%

日本住宅ローンの手数料

電子署名サービスをご利用の場合:20,000円(消費税抜)

※特約スーパーまいどを利用する場合

特約手数料:借入額の1.42%(税別)

日本住宅ローンの他のモーゲージバンクにない特徴

  • 積水ハウス 、大和ハウス工業 、住友林業 、セキスイハイムは提携金利プランが利用できる

http://www.mc-j.co.jp/

全宅住宅ローン

全宅住宅ローンの概要

株式会社全宅住宅ローンは、全宅連が母体となり、2004年に設立されたモーゲージバンクです。全宅連とは、全不動産業者(約12万社)の80%が加入する国内最大の業界団体です。中小の不動産業者が案内しやすいモーゲージバンクになっています。

全宅住宅ローンのフラット35金利

【フラット35】 借入期間:21年以上35年以下(団信加入)

9割以下:年1.370%
9割超:年1.810%

全宅住宅ローンの手数料

借入額の2.0%(税別)

全宅住宅ローンの他のモーゲージバンクにない特徴

とくになし

http://www.zentakuloan.co.jp/

ジェイ・モーゲージバンク

ジェイ・モーゲージバンクの概要

株式会社ジェイ・モーゲージバンクは、2005年に設立された独立系のモーゲージバンクです。本社は東京都港区にあり、関西にも展開しています。

ジェイ・モーゲージバンクのフラット35金利

【フラット35】 借入期間:21年以上35年以下(団信加入)

9割以下:年1.370%
9割超:年1.810%

ジェイ・モーゲージバンクの手数料

借入額の2.0%(税別)

ジェイ・モーゲージバンクの他のモーゲージバンクにない特徴

とくになし

http://www.j-mb.jp/

協同住宅ローン

協同住宅ローンの概要

株式会社協同住宅ローンは、農林中央金庫、都道府県信用農業協同組合連合会等が株主として、1979年に設立されたモーゲージバンクです。本社は東京都港区にあり、関西にも展開しています。

協同住宅ローンのフラット35金利

【フラット35】 借入期間:21年以上35年以下(団信加入)

9割以下:年1.620%
9割超:年2.060%

協同住宅ローンの手数料

借入額の2.0%(税別)

協同住宅ローンの他のモーゲージバンクにない特徴

とくになし

http://www.kyojyu.co.jp/

オリックス・クレジット

オリックス・クレジットの概要

オリックス・クレジット株式会社 (ORIX Credit) は、日本の消費者金融会社。オリックス株式会社の完全子会社であり、モーゲージバンクと言い切れないところもありますが、フラット35を取り扱っています。

オリックス・クレジットのフラット35金利

【フラット35】 借入期間:21年以上35年以下(団信加入)

9割以下:年1.370%
9割超:年1.810%

オリックス・クレジットの手数料

借入額の2.0%(税別)

オリックス・クレジットの他のモーゲージバンクにない特徴

とくになし

http://orixcredit.jp/flat35/

その他のモーゲージバンク

消費者金融・信販会社

株式会社東京クレジットサービス
http://www.tokyo-card.co.jp/index.html

保険会社系

あいおいニッセイ同和損保
https://www.aioinissaydowa.co.jp/

三井住友海上火災保険株式会社
http://www.ms-ins.com/personal/finance/flat35/

住宅系

ミサワフィナンシャルサービス株式会社
https://www.mfsc.co.jp/

旭化成モーゲージ株式会社
http://www.asahi-kasei.co.jp/mortgage/index.html/

トヨタファイナンス株式会社
https://www.toyota-finance.co.jp/index.php

物産系

ハウス・デポ・パートナーズ
http://www.housedepot-p.co.jp/

まとめ

モーゲージバンクとは

  • 銀行の預金機能を持たずに住宅ローンのみを販売する住宅ローン専門金融機関のこと

を言います。

「フラット35」を選ぶときに銀行ではなくモーゲージバンクを選ぶべき理由には

  1. 理由その1.銀行は自行の住宅ローン商品を優先的に販売するから
  2. 理由その2.銀行よりも、事務手数料が安いケースがある
  3. 理由その3.不足する1割の自己資金分を融資するパッケージローンを提供しているところが多い

というものがあります。

残念ながら、モーゲージバンクは2005年に登場して、徐々に存在感が薄れてきています。というのも、ネット銀行がインターネットを中心にフラット35を手数料を下げて販売し始めているからです。

フラット35を検討する場合には

など、ネット銀行のフラット35も、合わせて比較検討することをおすすめします。