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現在借入中の住宅ローン金利を交渉によって引き下げる金利引き下げ交渉のコツを解説します。
住宅ローン借り換えによる銀行との金利引き下げ交渉とは?
現在借入中の住宅ローンを提供している銀行に
「他の銀行に借り換えますよ。」と言いながら
「金利を下げてくれれば御行のままでいいですよ。」と交渉し実際に借り換えをせずに現在の銀行に住宅ローン金利を下げてもらうこと
を言います。
これができれば、借り換えによって発生する
- 諸費用
- 借り換えの手間
がなくなるので、これほど良いこともありません。しかし、この方法が浸透してから、容易に銀行は金利引き下げを良しとしなくなっているのも事実なのです。
ここでは、住宅ローン借り換えによる銀行との金利引き下げ交渉成功のコツを解説します。
銀行の立場を理解する
銀行というのは「お金を貸して利息収入で売り上げを作る」ビジネスモデルです。
銀行の経営状態を推し量る指標の一つが「融資額」なのです。
住宅ローンの融資額が10兆円の銀行と
住宅ローンの融資額が1000億円の銀行では
利息収入は100倍も異なるになります。
案件ごとに貸し出し金利は異なりますが、基本的には貸し出し金利は調達金利と連動して決定されるので、利幅はそれほど変わらないのです。
銀行の成績を推し量る指標が「融資額」だとしたら、支店長の成績も、営業担当者の成績も、「融資額」の占める割合が大きいということになります。
すでに住宅ローンでお金を貸している銀行にとっては、一括返済されてしまう借り換えというのは避けなければならないものであり、「返してもらってうれしい」というものではないのです。
銀行は顧客に「できるだけ長い間借りて、確実に返済を続けて欲しい。」と思っているのです。
借り換えをされれば一括返済によって融資額が減るので顧客をロストしたことになります。
一括返済されてしまえば、その後の利息収入は全くゼロになってしまうので、多少金利を引き下げても、借り換えをしないでもらった方がお得という判断になるのです。
交渉が成功するのは大手都市銀行や地方銀行
基本的に金利引き下げ交渉が通用するのは大手都市銀行(ネット銀行)や地方銀行です。
ネット銀行の場合は、「あぁ~そうですか。」というだけで話が終わってしまいます。
ネット銀行は、保証料を無料にする代わりに、借り入れ時に発生する事務手数料を多く取る形になっています。
ネット銀行は3000万円の借入であれば、60万円(税別)ほどの事務手数料が発生するので、借り換えをされてもそれほど痛手ではないのです。
大手都市銀行や地方銀行は逆に事務手数料が安く、毎月支払う金利に保証料が加算される仕組みになっているので、借り換えをされると困るわけです。
金利引き下げ交渉成功のコツ
1.具体的な情報を伝える
借り換えをネタにした借り換え交渉はある程度浸透してしまっているので、銀行側も「またか」と思うようになってきています。
「借り換えしますよ。」
と単純に言ったとしても、取り合ってもらえない可能性も高いのです。
- ○○銀行に借り換え予定
- 3月末に借り換え予定
- 現状の金利1.5% → 0.6%になる予定
- 総返済額は200万円軽減できる
- 借り換えの事前審査は通っている
という具体的な指標を提示して、「借り換えをするのは本気だよ。」ということを伝える必要があります。
2.交渉が不調なら、実際に借り換えをする覚悟をもって交渉する
前述した具体性と言うのも本気度を伝えるための方法です。
銀行の方針次第ですが最近は「借り換え交渉は取り合わない」という銀行も増えています。
最悪、「借り換えしますよ。」と言って「どうぞどうぞ。」と言われてしまった場合に、本当に借り換えを実行する覚悟をもって交渉に挑む必要があります。
実際に交渉が不調になったときに借り換えを実行する前提で、借り換えメリットが大きい住宅ローンを見つけて、申込んでおく必要があります。
覚悟がなければ「あっ、この人は借換はしないな。」と本気度は伝わってしまうものなのです。
3.常に下から目線
交渉は脅迫ではありません。
ともすれば
「金利下げてくれなければ借り換えるよっ!!」
なんて強気に交渉する人も多いのですが、銀行の担当者も人間ですから、当然逆効果になってしまいます。これでは脅しですから、交渉は成立しません。
あくまでも、相談ベースで
「現状、返済額が○○円安くなるということで○○銀行への借り換えを検討しているのですが、それなりに諸費用が発生して手間もかかってしまうの実行するか悩んでいるんですが、ご相談の方は可能でしょうか?」
と下から目線で話をしたうえで、相談の場をセッティングしたのちに
「現段階では、事前審査が通っていて、○円総返済額が安くなると言われているのですが、諸費用としてこのぐらいの費用が発生するんです。」
と具体性をアピールしておけば、銀行次第ではありますが
「その銀行までは下げられませんが、ここら辺までであれば上長の承認次第で下げられるかもしれません。」
というような回答が返ってくる可能性があるのです。
「常に下から目線」であることを忘れてはいけません。
4.狙い目は2月~3月、8月~9月
金利引き下げ交渉の成功しやすい時期というものもあります。
前述した通りで、融資額というのは銀行の成績であり、営業マンの成績でもあります。
上場している銀行であれば、3月決算のところが多く、3月までの成績が1年間の成績を投資家に発表するデータになります。
成績が良ければ株価が上がり、成績が悪ければ株価が下がるのですから、銀行としては最後の月である3月には「なんとか目標を達成させよう!」というモチベーションになっているのです。
融資額の目標達成を掲げているときに借り換えによるロストが発生するのは好ましくないため、借り換えの成功率が高まるということです。
8月~9月は、中間決算なので決算に次いで成功しやすい時期と言えます。
まとめ
住宅ローン借り換えによる銀行との金利引き下げ交渉成功のコツは
- 具体的な情報を提示すること
- 交渉が不調な場合は借り換え実行する覚悟をもって行うこと
- 下から目線で相談ベースの交渉をすること
- 2月~3月、8月~9月が狙い目
ということが挙げられます。
基本的に銀行との金利引き下げ交渉が失敗したとしても、諸費用も含めた借り換えメリットがあるのであれば、借り換えをしてもデメリットはないはずですので、交渉失敗時には速やかに借り換えを実行しましょう。
金利引き下げ交渉の交渉前に借り換え先の銀行を決めて、実際に申込んで事前審査は通しておく必要があります。
借り換え先の銀行で事前審査が通っていない状態で「借り換えをするぞ」といって金利引き下げ交渉をした場合、交渉が失敗に終わって、そこから借り換え先の銀行に申込むと、審査が通らずにどうにもならない状態に追い込まれてしまいます。「やっぱりそのままでいいです。」というばつの悪い状態になってしまうので、金利引き下げ交渉の交渉前に借り換え先の銀行を決めて、実際に申込んで事前審査は通しておく必要があります。