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住宅ローンの変動金利には、他の金利タイプにはない仕組みになっています。変動金利を選ぶ前にこの変動金利のルールについて把握しておきましょう。
変動金利の仕組みと変動ルール
変動金利の金利は短期プライムレートに連動する
短期プライムレートとは、銀行が短期(1年以内の期間)で貸し出す時に適用する最優遇貸出金利(プライムレート)のことを言います。
短期プライムレートは、中央銀行の金融政策によって決定される政策金利に連動します。日銀が民間銀行に融資するときの金利に銀行がプラスαのリスク分をのせて決定されるのが短期プライムレートです。
住宅ローンの変動金利も、短期プライムレートに連動すると言われていますが、実際は日銀が民間銀行に融資する政策金利に連動するといった方が良いのです。日銀が民間銀行に融資する政策金利というのは景気によって変動します。
不況の場合は、企業活動を活発化させ、インフレを発生させる必要があるため政策金利は低金利にして、市場にお金を流しやすくするのです。一方、好景気になれば政策金利を引き上げ、景気の過熱を抑制することになります。
- 不景気 → 政策金利は低金利 → 住宅ローン変動金利は低金利
- 好景気 → 政策金利は高金利 → 住宅ローン変動金利は高金利
変動金利の金利は半年に1回見直される
変動金利は毎年4月と10月(違う場合もある)に金利が見直されます。半年に1回のペースで見直しが行われるのです。
変動金利は短期プライムレートと呼ばれる銀行が企業に融資する金利に連動します。実際は短期プライムレートは刻一刻と金利が変わっているので、毎月金利を変えることもできるのですが、変動金利で毎月適用される金利が変わると銀行側の運用も、利用者側の把握もしにくいので、半年に1回見直しが入る、半年間は一定の金利が適用される仕組みになっているのです。
ただし、短期プライムレートが急変動した時などは半年に1回でないタイミングでも見直しがされる可能性があります。
変動金利の返済額は5年後見直される
変動金利という名前がついていながらも、実は変動金利の返済額というのは5年間は変わらないのです。変動金利というと返済額も毎月変わっていくようなイメージを感じてしまいますが、実際には1年目~5年目、6年目~10年目、11年目~15年目・・・と35年借りたとしても、7回しか変わらないのです。
変動金利の返済額が見直されれるときも1.25倍まで
5年後とにしか返済額は見直されませんが、その見直しが入る返済額も見直し前に対して1.25倍が上限になっていて、それ以上の額にはならないのです。
- 1年目~ 5年目:10万円/月 返済
- 6年目~10年目:12万5,000円/月 返済
- 11年目~15年目:15万2.500円/月 返済
と金利がいくら上昇したとしても、返済額には上限設定がされているのです。これは返済額が急激に上がらないような配慮の一つと言えます。
「5年ルール」と「1.25倍」はメリットばかりではない!
変動金利を選ぶ際に注意しなければならないことは、前述した「5年ルール」と「1.25倍」はメリットばかりではないということです。
金利は半年で見直しが入るのに
返済額は一定額以上に増えない
ということは、金利が上昇しても返済している金額が少ないのですから・・・「元本返済が少なくなってしまう。」ということを意味します。
金利が上昇 → 返済額は一定以上増えない → 元本返済がすすまない
元本返済がすすまない → 全体の利息額が膨らむ → 総返済額が膨らむ
という状況が発生してしまうのです。
さらに金利が急上昇した場合には、毎月の返済額が利息分にも達しない状況「未払い利息」が発生してしまう可能性もあるのです。
この状態であれば一向に元本は減らずにむしろ借入額が増えてしまうことになるのです。
金利が上昇したのに返済額は一定以上に上がらない
ということは毎月の返済だけを見ればメリットかもしれませんが、全体の住宅ローン返済を考えると大きんデメリットなのです。
これは住宅ローンの変動金利特有の注意すべきポイントと言えます。
変動金利を比較検討するのであれば、十分に変動金利の仕組みと特性を理解したうえで検討することをおすすめします。