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住宅購入時に決める必要があるのが「住宅ローンの貯金をいくらにするのか?」ということです。
頭金を多く用意できればできるほど
- 住宅ローン審査が通りやすくなる
- 返済総額が安くなる
- 毎月の返済額が少なくなる
というメリットがあるからです。
ここでは、住宅ローン頭金の貯め方と貯めるときの注意点について解説します。
住宅ローンの頭金と返済利息の関係
同じ物件価格であれば頭金が多ければ多いほど、住宅ローンの借入額が減ります。借入額が少なくなると言うことは総返済額も、返済利息も、毎月の返済額も、下がることになるのです。
住宅ローンの頭金と返済利息
3000万円の借入、35年返済、イオン銀行住宅ローン金利0.57%、金利変動なし
物件価格 | 頭金 | 借入額 | 総返済額 | 総利息 | 差額 | 頭金+総返済額 |
---|---|---|---|---|---|---|
3000万円 | 0万円 | 3000万円 | 3391万円 | 391万円 | 0万円 | 3391万円 |
3000万円 | 100万円 | 2900万円 | 3279万円 | 379万円 | -12万円 | 3379万円 |
3000万円 | 200万円 | 2800万円 | 3166万円 | 366万円 | -25万円 | 3366万円 |
3000万円 | 300万円 | 2700万円 | 3054万円 | 354万円 | -37万円 | 3354万円 |
3000万円 | 500万円 | 2500万円 | 2829万円 | 329万円 | -62万円 | 3329万円 |
3000万円 | 1000万円 | 2000万円 | 2266万円 | 266万円 | -125万円 | 3266万円 |
3000万円 | 1500万円 | 1500万円 | 1704万円 | 204万円 | -187万円 | 3204万円 |
となります。
- 頭金が0円の人 → 391万円の利息
- 頭金が300万円の人 → 354万円の利息
37万円分、頭金300万円の人の方が返済利息が安くなる
- 頭金が0円の人 → 391万円の利息
- 頭金が1000万円の人 → 266万円の利息
125万円分、頭金300万円の人の方が返済利息が安くなる
という結果です。
当然かもしれませんが、頭金は多ければ多いほどお得に住宅ローンを利用できることになるのです。
では、どうやって住宅ローンの頭金を貯めるのがベストなのでしょうか?
住宅ローンの頭金の貯め方のアンケートデータ
SUUMOのアンケート調査では下記のような結果が出ています。
自然と貯まった | 52.4% |
自分の親からの援助 | 29.4% |
住宅購入のための定期預金 | 19.4% |
投資で利益を出した | 6.1% |
副業で収入を増やした | 4.2% |
車などの高価なもを売った | 0.3% |
2010年8月24日~8月25日・309人への調査データ
考察
- 自然と貯まったというのは、すでに頭金に回すための貯金があるということを意味します。
- 次いで多いのが「自分の親からの援助」で、その次に「定期預金」と続きます。
- 残りの1割が「投資」「副業」となっています。
では、このアンケートデータを鵜呑みにしても良いのでしょうか?
頭金の貯め方には注意すべき点があるのです。
住宅ローンの頭金を貯めるときの注意点
1.貯めるのに時間がかかると意味がない!
2015年現在は、インフレ傾向、増税傾向、景気向上傾向がある時代です。
つまり、時間が経てば経つほど
- 金利が上昇する
- 物価(物件価格)が上昇する
- 消費税が上昇する
リスクがあるのです。
悠長に頭金を貯めている間に、金利が0.2%上がったら、消費税が2%あがったら、頭金を増やした意味がないぐらい返済負担が増えてしまうのです。
「時間をかげずに頭金を作る」
ことが重要なのです。
2.貯金が減るリスクがある方法は回避する
FXや株式投資、ニーサなど色々な投資方法がありますし、実際にアンケートデータでも6.1%の方が投資で増やしたと回答しています。
しかし、資金を増やすことが目的なのに、資金が減るリスクのある方法を選択するのは本末転倒です。そもそも、投資で稼げる人というのは1割に満たないのです。
おすすめの住宅ローンの頭金の貯め方
住宅ローンの頭金の貯めるときの考え方は
「時間をかげずにある程度高額な頭金を作る」
ということです。
「時間をかけずに」という点が大きなポイントなのです。
方法1.「親からの援助」を有効活用
父母や祖父母から住宅資金の贈与を受ける場合は非課税になる「住宅資金贈与特例」というものがあります。毎年の税制によって変化はあるのですが、現状は平成31年6月30日まで適用される制度となっています。
平成27年12月31日までなら省エネ住宅で1,500万円、それ以外の住宅で1,000万円まで非課税
贈与税がかからないということは、早いうちに贈与で親の財産を受け継いでおくと、相続時に相続財産も減ることになるので相続対策にもなるのです。
また、相続での受取る予定の財産を先に受け取って、税金は相続のときまで先延ばしにできる「相続時精算課税制度」という制度があるのです。
相続対策として、親や祖父母を説得したうえで援助をしてもらうという方法がおすすめの頭金の貯め方と言えます。
親が嫌がった場合には、「将来返済するから頭金を援助して」という形で金利0%で借りるという選択肢もあります。金利0%でも、銀行からの借入額が減ることに変わりはないので利息の軽減、返済額の軽減は可能になるのです。
方法2.「車などの財産の売却」
車や家具など高額な財産の売却という方法があります。
とくに車は保有するだけで
- 駐車場代
- ガソリン代
- 税金
- 車検代
- 自動車保険料
などさまざまな維持コストがかかるからです。
売却して頭金に回せれば、頭金を増やすことによる利息軽減効果だけでなく、その後のランニングコストを軽減して、毎月の住宅ローン返済負担を軽減する効果もあるのです。
カーシェアリングなどを利用して、車は必要な時の利用に切りかえて頭金を用意する方法もおすすめできます。
方法3.「生命保険の解約」
生命保険では、掛け捨て型が増えてきていますが、終身保険や養老保険などの貯蓄型を選んでいる方も多いと思います。貯蓄型の生命保険の場合は、解約すれば解約返戻金が戻ってきます。
民間銀行の住宅ローンを組むと「団信」と言う、契約者が死亡したときに住宅ローン返済が免除される保険が無料で付帯されます。
そのため、世帯主の死亡後の遺族の生活資金の必要額、つまり保険金額は家賃分引き下げることが可能になるのです。このタイミングで保険金額を減らして、生命保険を見直しすることで一時的な資金のねん出が可能になるのです。
まとめ
住宅ローンの頭金は多ければ多いほど
- 住宅ローン審査が通りやすくなる
- 返済総額が安くなる
- 毎月の返済額が少なくなる
メリットがあります。
ただし、時間をかけて貯めるのには以下のリスクが存在するのです。
- 金利が上昇しているリスク
- 物価が上昇し、物件価格が上昇しているリスク
- 消費税などの増税リスク
住宅ローンの頭金を貯めるときに気を付けたいポイントは
「時間をかげずに頭金を作る」
なのです。
これが難しいのであれば、頭金は今ある範囲内で住宅ローンを借りてしまうということも、決して悪い選択ではないのです。