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住宅ローンを借りるときには色々な手数料が発生します。この手数料のことを「諸費用」と言いますが、住宅ローンの予算を決めるときには、当然この「諸費用」を頭に入れておく必要があるのです。一つ一つの諸費用について解説します。
事務手数料
ローンを利用する場合に銀行に支払う事務手数料です。便宜上は住宅ローンの申し込み受付や住宅ローン審査に、書類の郵送などの事務作業にかかる費用というイメージです。
事務手数料の相場
- 都市銀行、地方銀行 → 事務手数料 30,000円(税別)
- ネット銀行、新たな形態の銀行 → 事務手数料 融資額の2.0%(税別)
都市銀行、地方銀行は事務手数料が安い反面、保証料が発生します。一方、ネット銀行、新たな形態の銀行の場合、保証料が無料になっている分、事務手数料が高く設定されています。
保証料
銀行が住宅ローンの貸し倒れを保証してくれる保証会社を利用する場合に発生する費用のことです。保証会社をつけると住宅ローンで融資したお金の返済が一定期間以上滞った場合、保証会社が銀行に代わりに返済するため、銀行側にリスクがなくなるのです。(「代位弁済」と言います。)
保証料の相場
- 都市銀行、地方銀行 → 金利+0.2%の上乗せ
- ネット銀行、新たな形態の銀行 → 無料
保証料は「金利上乗せ型」と「一括前払い型」の支払い方法が選択できます。基本的には「金利上乗せ型」を選ぶ方が多いようです。「金利+0.2%の上乗せ」という場合に、どのくらいの負担になるのか?は借入額や借入金利によって異なりますが、3000万円の借入だと仮定した場合には約200万円ぐらい総返済額が増えると考えて良いでしょう。
印紙税
住宅ローンを借りるときに銀行と契約することになるのですが、その契約書「金銭消費貸借契約書(ローン契約)」を締結するときに借入額に応じて収入印紙(印紙税)が必要になるのです。
印紙税金額 ※2015年12月時点
契約金額 | 印紙税 |
---|---|
100万円超~500万円以下 | 2,000円 |
500万円超~1,000万円以下 | 1万円 |
1,000万円超~5,000万円以下 | 2万円 |
5,000万円超~1億円以下 | 6万円 |
一部の銀行(例:auじぶん銀行)では書面での契約書を交わさずにネットで契約を締結する住宅ローンもあります。この場合、書面での契約書がないので印紙税が発生しません。印紙税の節約が可能です。ネット上での契約でも、契約としての効力は同じです。
抵当権設定登記の登録免許税
住宅ローンを利用する場合には購入する住宅を担保にして、お金を借りることになります。担保にする権利のことを抵当権というのです。抵当権は登記をすることではじめて第三者に対抗する権利となるので、住宅ローンを借りるときには必ず借りた銀行の抵当権が不動産登記されるのです。このときの税金が登録免許税です。
抵当権設定登記の登録免許税 ※2015年12月時点
- 登録免許税は借入額の0.15%
本来は0.4%ですが、住宅用家屋の軽減税率が適用されています。
軽減税率:個人が、平成29年3月31日までの間に住宅用家屋を新築又は建築後使用されたことのない住宅用家屋の取得をし、自己の居住の用に供した場合の保存登記
抵当権設定登記の司法書士報酬
抵当権設定は実は自分でもできるものです。しかし、はじめて登記をするとなると失敗するケースもあるため、基本的に銀行が嫌がるのです。結果として、住宅ローンの不動産登記は不動産や法人の登記の代理を行う専門家「司法書士」に依頼することになるのです。銀行が指定する司法書士が住宅ローンの不動産登記を行うのが一般的です。
司法書士の不動産登記に関する報酬
- 6万円~10万円
司法書士によって、借入額によって報酬額は異なります。
火災保険料
基本的に住宅ローンに加入する場合には火災保険の加入が銀行側から義務付けられるケースがほとんどです。銀行としても火災で担保である住宅がなくなってしまったときに融資したお金が返ってこないと困るためです。火災保険は、火災だけでなく、水災(洪水、雨漏り)、風災(台風、竜巻)・・・など様々な住宅に関する被害を回避できる総合保険ですので、加入しておくことをおすすめします。
火災保険料
- 年間:1万円~3万円程度
火災保険料は、住宅の資産価値や加入する火災保険、補償内容によって異なります。
地震保険料
地震保険は火災保険とセットで加入する保険です。火災保険とは違って、強制加入ではなく、任意で加入するか選択できます。地震保険だけに加入することはできません。
地震保険料
- 年間:1万円~3万円程度
地震保険料は、住宅の資産価値によって異なります。
団体信用生命保険
団体信用生命保険「通称:団信」は住宅ローンの契約者が万が一死亡してしまった時に住宅ローンの残債が保険金で支払われる仕組みの生命保険です。民間銀行の住宅ローンの場合は、この団信は強制加入ですが、保険料は銀行側が負担する形になっています。
団体信用生命保険料
- 銀行・その他の金融機関が提供する住宅ローン:無料
- フラット35:有料(35年金利1.0%、3000万円の借入の方で完済までに2,030,300円)
団体信用生命保険料(機構団信特約料)はこちらでシミュレーション可能です。
http://www.jhf.go.jp/simulation_danshin/index.php
フラット35の場合は団信への加入は任意なので加入しないということも可能です。
適合証明書
フラット35には住宅の技術基準というものがあります。フラット35で融資を受けるためにはこの技術基準をクリアしている物件である必要があるのですが、この証明書が「適合証明書」です。適合証明書の交付を行う適合証明機関で「適合証明書」を発行してもらう必要があります。この手数料が発生するのです。
適合証明書の発行手数料
- 2万円~5万円程度
新築時に機構が定める維持管理や耐久性の基準に適合している築10年以内の中古マンションは適合証明書の提出を省略することが可能です。当然、発行手数料も必要ありません。
試算例
3000万円の借入 メガバンクでの借入の場合
- 保証料:金利+0.2%上乗せ
- 事務手数料:32,400円
- 印紙税:20,000円
- 抵当権設定登記の登録免許税:45,000円
- 抵当権設定登記の司法書士報酬:80,000円
- 火災保険料(10年分一括前払い):100,000円
- 地震保険:未加入
- 団信保険料:0円
合計:277,400円
となります。ネット銀行の場合は、保証料がない代わりに融資額の2.0%(税別)の事務手数料がさらにプラスされますが、金利は保証料の上乗せがない為、総返済額は安く抑えられます。
上記以外に考慮しなければならない費用
- 引っ越し代
- リフォーム費用
- 新居用のインテリア、家具、家電の費用
- 固定資産税
- 不動産取得税
- 売買契約時の印紙代
まとめ
住宅ローンを借りる場合には、前述した手数料が発生することをはじめから想定したうえで、予算を組む必要があります。
後から慌てないためにも、必要な諸費用は事前に把握しておきましょう。