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住宅ローンの諸費用の中には「所有権設定登記の登録免許税」というものがあります。今回は住宅ローン契約時の諸費用「所有権設定登記の登録免許税」について解説します。
所有権とは
不動産の所有権とは、その不動産(土地や建物)を所有する権利のことで、自由に使用・処分・収益化することができる権利のことを言います。
不動産登記とは
不動産(土地や建物)の権利関係を公示するために作られた登記簿に登記すること
を言います。
土地や建物が誰の所有物なのか?誰の担保となっているのか?(抵当権がついているのか?)を公にするもので、法務局や登記所で登記をすることで、所有権や抵当権が証明されるものです。
公にするという意味があるので、全国の登記所に行けばデータベースから土地や建物に関する所有権を誰でも確認することができます。
「所有権移転登記」「所有権保存登記」とは
所有権の登記には2つの種類があります。
- 所有権移転登記
- 所有権保存登記
です。
所有権移転登記とは
所有権を他の権利者から移す登記のことを意味します。
中古住宅を購入した場合は、売主の所有権を購入者の所有権に書き換えなければなりません。このときにやらなければのが「所有権移転登記」です。「所有権移転登記」をすることによって、不動産の所有権が自分のものになったことを公的に証明することができるのです。
土地を購入した場合も、土地の場合はすでに所有者がいるものですから、「所有権移転登記」が必要になるのです。
所有権保存登記とは
所有権保存登記は、所有権を新しく設定する登記のことを意味します。
土地を購入して、そこに新しく住宅を建てた場合、新築分譲マンションを購入した場合などに、その新しくできた不動産の所有権を公的に証明するために行う必要があるものです。
本則税率(原則の税率)
- 所有権移転登記 : 不動産価額の2.0%
- 所有権保存登記 : 不動産価額の0.4%
新築の場合の「所有権保存登記」は不動産価額の0.4%、土地の購入や中古住宅の購入の場合の「所有権移転登記」は不動産価額の2.0%となっています。
例えば、2000万円の土地を購入して、1500万円の新築の注文住宅を作った場合
土地購入分 → 所有権移転登記
2000万円 × 2.0% = 40万円
注文住宅の新築分 →
1500万円 × 0.4% = 6万円
合計:46万円
ということになります。所有権移転は2.0%というかなり高い諸費用負担になってしまうのです。
しかし、「住宅に係る登録免許税の軽減措置」(2016年2月時点)というものが存在します。
住宅に係る登録免許税の軽減措置
自己の居住の用に供する家屋について、その家屋を新築・取得した場合における所有権の保存・移転登記又はその家屋の取得資金の貸付け等を受けた場合における抵当権の設定登記に係る登録免許税については、平成29年3月31日までの措置として、次のとおり軽減。
所有権の移転登記の「住宅に係る登録免許税の軽減措置」適用条件と税率
- 個人の住宅の用に供される床面積50平方メートル以上の家屋
- 中古住宅の場合は、築後25年以内(木造は20年以内)のもの又は一定の耐震基準に適合するもの
所有権の移転登記 : 不動産価額の0.30%
所有権の保存登記の「住宅に係る登録免許税の軽減措置」適用条件と税率
- 個人の住宅の用に供される床面積50平方メートル以上の家屋
所有権の保存登記 : 不動産価額の0.15%
「住宅に係る登録免許税の軽減措置」は政府が不動産市場の活性化のために作る税制改正で決まるもので、不況時には継続的に「軽減措置」が適用されることが多くなっています。
不動産市場は景気を左右するため、政府も不動産市場を冷え込ませたくはないのです。
とくに国土交通省を中心に中古不動産ストックの活用というのが重要なテーマになっているため、中古住宅の取得、土地の取得に大きな影響がある「所有権の移転登記」の軽減措置は重要度の高いものであり、今後も延長される可能性が高いのです。
これが「2.0%なのか?0.3%なのか?」は不動産を購入する際の負担額が大きく変わってくるのです。
住宅ローン利用時には「抵当権設定登記」も必要になる
住宅ローンを利用する場合には、銀行や金融機関からお金を借りる場合に、対象の住宅を担保に入れる必要があります。
担保に入れるというのを公的に行うのが「抵当権設定」というものです。「所有権」と同じように「この不動産(土地・物件)は○○銀行が担保にしてますよ。」というのを公的に証明するために登記するのです。
- 建物を新築した場合 → 「所有権の保存登記」
- 中古物件・土地を購入した場合 → 「所有権の移転登記」
と合わせて住宅ローンを利用した銀行、金融機関の「抵当権設定登記」が必要になります。
住宅ローンの登記に関する登録免許税は「所有権に関するもの」「抵当権に関するもの」の2つが必要になるということなのです。
不動産登記に関する登録免許税
登記の種類 | 本則税率 | 特例税率 |
---|---|---|
所有権の保存登記 | 0.40% | 0.15% |
所有権の移転登記 | 2.00% | 0.30% |
抵当権の設定登記 | 0.40% | 0.10% |
特例は平成29年3月31日までの軽減措置(2016年2月時点)です。延長される可能性もあります。