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住宅ローンの諸費用の中には「抵当権設定登記の登録免許税」というものがあります。今回は住宅ローン契約時の諸費用「抵当権設定登記の登録免許税」について解説します。
抵当権とは
債務の担保に供した物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利
のことです。
この説明ではよくわからないと思うので要約すると
住宅を担保にお金を借した人が、他のお金を借した人よりも優先して、担保を売却して貸したお金の回収にまわせる権利のこと
です。
仮に住宅ローンの返済ができなくなってしまった場合には、銀行はこの抵当権を使って、住宅を競売などで売却して、住宅ローンの残債の回収に充てるということになります。そのために必要なのが「抵当権」です。
住宅ローンは住宅を担保に低金利でお金を借りられるローンですから、この抵当権の設定をせずに住宅ローンを利用するということはまずありえないのです。
住宅ローンを利用するときに必ずしなければならないのが「抵当権の設定」であり、法務局に抵当権設定登記をするときに支払わなければならない税金のことを「抵当権の登録免許税」というのです。
不動産登記とは
不動産(土地や建物)の権利関係を公示するために作られた登記簿に登記すること
を言います。
土地や建物が誰の所有物なのか?誰の担保となっているのか?(抵当権がついているのか?)を公にするもので、法務局や登記所で登記をすることで、所有権や抵当権が証明されるものです。
公にするという意味があるので、全国の登記所に行けばデータベースから土地や建物に関する所有権を誰でも確認することができます。
本則税率(原則の税率)
抵当権の設定登記 : 不動産価額の0.4%
抵当権を設定する不動産価額の0.4%となっています。
例えば、3000万円の物件を担保に住宅ローンを利用する場合の抵当権設定登記の登録免許税は
3000万円 × 0.4% = 12万円
ということになります。
しかし、「住宅に係る登録免許税の軽減措置」(2016年2月時点)というものが存在します。
住宅に係る登録免許税の軽減措置
自己の居住の用に供する家屋について、その家屋を新築・取得した場合における所有権の保存・移転登記又はその家屋の取得資金の貸付け等を受けた場合における抵当権の設定登記に係る登録免許税については、平成29年3月31日までの措置として、次のとおり軽減。
抵当権の設定登記(住宅に係る登録免許税の軽減措置) : 不動産価額の0.1%
3000万円 × 0.1% = 3万円
とかなり登録免許税が軽減できることになります。
これは平成29年3月31日までの軽減措置です。
軽減措置の適用条件
- 自分が住むための住宅であること
- 個人の住宅の用に供される床面積50平方メートル以上の家屋であること
- 当該住宅用家屋の新築又は取得後1年以内に登記を受けること
- 中古住宅の場合は、築後25年以内(木造は20年以内)のもの又は一定の耐震基準に適合するもの
という条件があります。
「住宅に係る登録免許税の軽減措置」は政府が不動産市場の活性化のために作る税制改正で決まるもので、不況時には継続的に「軽減措置」が適用されることが多くなっています。
不動産市場は景気を左右するため、政府も不動産市場を冷え込ませたくはないのです。
それでも、10万円程度の違いは出てくるので「軽減措置」が適用されているタイミングで住宅ローンの利用をした方が諸費用はお得になるのです。
住宅ローン利用時には「所有権の保存登記」「所有権の移転登記」も必要になる
前述したのは「抵当権設定登記」です。これは「銀行などの金融機関が担保にしたよ。」ということを証明するための権利を登記することを意味します。
しかし、同時に不動産(建物・土地)を購入したことになるため、「所有権の保存登記」「所有権の移転登記」も必要になるのです。
所有権というのは「誰のものか?」を証明するものです。
住宅ローン利用時には、建物と土地を購入することになるので「担保としての抵当権設定」と「所有者としての所有権設定」の両方が必要になります。
「○○銀行の担保にはなっているけど、所有権は自分のものです。」ということを公開するのが不動産登記なのです。
「抵当権設定登記」と合わせて
- 建物を新築した場合 → 「所有権の保存登記」
- 中古物件・土地を購入した場合 → 「所有権の移転登記」
が必要になります。
不動産登記に関する登録免許税
登記の種類 | 本則税率 | 特例税率 |
---|---|---|
所有権の保存登記 | 0.40% | 0.15% |
所有権の移転登記 | 2.00% | 0.30% |
抵当権の設定登記 | 0.40% | 0.10% |
特例は平成29年3月31日までの軽減措置(2016年2月時点)です。延長される可能性もあります。