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一般的な生命保険の場合、被保険者(保険を掛けられている人)と保険の契約者(保険料を支払っている人)が同じ場合、相続税が発生します。団信(団体信用生命保険)も生命保険の一種ですが、団信の場合には相続税はどうなるのでしょうか?住宅ローンの団信と相続税について解説します。
生命保険で相続税が発生する理由
相続税は相続財産に課税される税金です。
相続財産というのは、被相続人が生前に所有していた財産で、お金に換金できる経済的価値がある財産のことを言います。
例えば
- 預金
- 株式などの有価証券
- 建物や土地などの不動産
- 自動車などの動産
・・・
などです。
ここで疑問になるのが「生命保険の保険金は生前に所有していないから、相続財産じゃないんじゃないの?」というものです。
実は民法では前述した「相続財産」だけでなく「みなし相続財産」も相続税の対象になるのです。
みなし相続財産とは
被相続人の死亡を原因として相続人が受け取った財産のことです。
- 死亡退職金
- 死亡保険金
- 信託受益権
- 受取年金
・・・
などがこれにあたります。
つまり、生命保険の死亡保険金というのは「相続財産」ではないが「みなし相続財産」ですので、相続税が発生することになります。
団信(団体信用生命保険)の場合はどうなるの?
団信(団体信用生命保険)も、名前からして「生命保険」と入っていますから、生命保険の一種なのです。生命保険ではありますが、保険金が契約者の死亡時に住宅ローンの残債分支払われ、住宅ローン返済が免除になる仕組みです。
生命保険の場合
生命保険の保険金の受取人 = 被相続人
→ 相続税が発生する
団信の場合
団信の保険金の受取人(銀行・金融機関) ≠ 被相続人
→ 相続税が発生しない
となります。
団信の場合は、受取人が銀行や金融機関になるのです。つまり、団信の保険金は、被相続人が受け取らずに、住宅ローン返済に充当されるため「みなし相続財産」にもならないのです。
団信と相続税に関する注意点
団信の代わりに生命保険加入で節約する方は注意が必要!
フラット35の場合は団信が任意加入ですので、団信には入らずに生命保険で賄うという方法も一つの考え方です。
前述した通りで、団信に加入すると相続税は発生しませんが、生命保険だと相続税が発生するのです。この節約方法を使う場合には相続税についても検討しなければなりません。
注意しなければならないのは、相続税はすべての世帯で発生するものではないということです。
2017年現在の相続税の計算
非課税額 = 3000万円 + 被相続人 × 600万円
となっています。つまり、被相続人が3人いるのであれば、4800万円までは非課税になるのです。過去の実績データでは世帯数の4%が相続税を支払っていて、残りの96%は相続税の支払いをしていないのです。
非課税枠を超えた相続財産を持っている方の場合
→ フラット35選択時に団信の代わりに生命保険に入ると相続税が発生する
非課税枠を超えた相続財産を持っていない方の場合
→ フラット35選択時に団信の代わりに生命保険に入っても、相続税は発生しない
ことになります。相続財産が高額でなければ団信の代わりに生命保険に入るという方法は有効なのです。
住宅ローンの残債は相続財産からマイナスできない!
通常、相続財産というのは
- プラスの相続財産
- マイナスの相続財産
を合算して、評価します。
- 預金:2000万円
- 株式:1000万円
- 不動産:3000万円
で6000万円のプラスの相続財産がある場合でも
- 借金:2000万円
があれば、マイナスの相続財産を合算して、4000万円が相続財産となります。
※マイナスの相続財産がプラスの相続財産よりも大きい場合は、相続放棄という方法も取れます。
しかし、団信に加入している住宅ローンの残債(借金)はこの債務控除(合算)ができません。
なぜなら、「団信で借金がチャラになること」がわかりきっている財産だからです。
過去の判例でも
「団信の保険金により補填されることが確実である住宅ローンの残債は相続人が支払うべきものではなく確実な債務にはあたらない」
となっているのです。
相続財産の計算時に注意が必要です。
まとめ
- 生命保険 → 相続税発生
- 団信 → 相続税発生せず
民間銀行の住宅ローンであれば団信が必須ですので考慮する必要はありませんが、フラット35で団信の代わりに生命保険に入る場合には相続税の負担分も注意が必要です。ただし、相続税は非課税枠が大きい為、多くの方は支払うことのない税金です。相続財産が高額になる場合に注意が必要なのです。