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住宅ローンの金利タイプを全期間固定金利にする場合には、大きく分けて「民間銀行の住宅ローン」と独立行政法人である国の機関が運営する「フラット35」があります。
では、どちらの方が金銭的なメリットがあるのでしょうか?
フラット35と民間住宅ローン比較表
比較項目 | フラット35 | 民間銀行の住宅ローン |
---|---|---|
用途 | 居住用住宅購入資金 +リフォーム費用 | 居住用住宅購入資金 +リフォーム費用 +諸費用 |
借入可能額 | 物件価格の最高100%+リフォーム費用 | 物件価格の最高100%+諸費用+リフォーム費用 |
金利タイプ | 全期間固定金利 | 変動金利 一定期間固定金利 全期間固定金利 |
借入期間 | 15年~35年、50年 | 1年~35年 |
適用住宅条件 | 住宅の床面積が、以下の住宅 ・ 一戸建て住宅、連続建て住宅、重ね建て住宅の場合:70m2以上 ・ 共同建ての住宅(マンションなど)の場合:30m2以上 | 一律の制限なし |
保証人 | 不要 | 保証会社の保証が必要 |
借り換え | 可能 | 可能 |
事務手数料 | 借入総額の2%(税別) | 借入総額の2%(税別) or 3万円(税別) |
保証料 | 無料 | 無料 or 金利+0.2% |
団体信用生命保険 | 任意加入:有料200万円ほど | 強制加入:無料 |
火災保険 | 必須加入 | 原則必須加入 |
繰上返済手数料 | 無料 | 無料がほとんど |
繰上返済条件 | 100万以上での繰上返済 | 1円~から可能 |
審査 | 通りやすい | 条件次第。厳しいケースも多い |
審査されるポイント | 住宅の適用基準に合致しているか? | 返済能力があるか? |
審査主体 | 住宅金融支援機構 | 各民間銀行 or 保証会社 |
上記を見ると色々違いがありそうですが
全期間固定金利に絞って比較する場合には違いは
「金利」と「団信保険料」
の違いだけと言っても過言ではありません。
2015年8月の住宅ローン金利で比較する
試算条件:3000万円、35年、全期間固定金利での借り入れ
楽天銀行フラット35
金利 1.580%
毎月の返済額 93,035円
総返済額 39,665,900円
ARUHIフラット35
金利 1.580%
毎月の返済額 93,035円
総返済額 39,892,700円
三菱UFJ銀行住宅ローン
金利 2.050%
毎月の返済額 100,150円
総返済額 42,265,400円
みずほ銀行住宅ローン
金利 2.140%
毎月の返済額 101,547円
総返済額 42,852,140円
三井住友銀行住宅ローン
金利 2.430%
毎月の返済額 106,126円
総返済額 44,775,320円
です。これだけ見ると一番安い「楽天銀行フラット35」と「三菱UFJ銀行住宅ローン」の差額は
42,265,400円 - 39,665,900円 = 2,599,500円
約260万円フラット35の方がお安くなっているのです。
しかし、前述した通りでフラット35と民間銀行の住宅ローンには「団信」という違いがあります。
民間銀行の住宅ローンは無料の団信が、フラット35の場合は入らなくても良いのですが、入る場合には有料になってしまうのです。
団信特約料(35年、1.58%、3000万円借入)
2,091,600円
です。
つまり、団信に加入したとしても
2,599,500円 - 2,091,600円 = 507,900円
フラット35の方が約50万円お得になる
ということなのです。
民間銀行の住宅ローンには前述した「三菱UFJ銀行住宅ローン」よりも全期間固定金利が高い金利のモノが多いので、選んだ銀行によってはこれ以上に差が広がる可能性があるのです。
金利変動よって民間銀行の住宅ローンの方がお得になることはないの?
ほとんどありません。
なぜなら、フラット35も、民間銀行の全期間固定金利も、同じ長期金利(10年もの国債金利)をベースにして毎月の金利を決めているからです。
絶対、距離が縮まらない追いかけっこのようなものなのです。
フラット35の金利が上がるときは、民間銀行の全期間固定金利も同じように上がります。
民間銀行の全期間固定金利が下がるときは、フラット35の金利も同じように下がるのです。
つまり、民間銀行が赤字覚悟で金利を下げる動きをしない限り、フラット35優位な状況というのは変わらないのです。
民間銀行が赤字覚悟で銀行側のリスクが大きい、全期間固定金利の金利を引き下げる可能性は非常に少ないのです。
借入期間や借入額などの条件によって民間銀行の住宅ローンの方がお得になることはないの?
可能性はあります。
フラット35の金利は15年~20年、21年~35年という段階で金利が上昇します。
しかし、民間銀行の場合は、21年~25年、26年~30年、31年~35年という形で5年区切りで金利が段階的に設定されていることがあるのです。
仮に「21年」で借りた場合にはフラット35はちょうど金利が上がってしまっていることになります。
この場合の総返済額は
楽天銀行フラット35 35,862,380円
三菱UFJ銀行住宅ローン 36,858,824円団信特約料 1,216,700円
です。つまり、21年という期間設定で選ぶのであれば若干、三菱UFJ銀行住宅ローンの方が総返済額が安いということになるのです。
しかし、現実的には「21年」で借りるならフラット35の金利が低金利「20年」で借りた方が総返済額がぐんと下がるので「21年」という借入期間で比較するのは現実的ではないのです。また、21年~30年ぐらいでフラット35を借りたとしても、20年を切った時にフラット35へ借り換えるという方法がとれるので、どちらにしろ前述した条件というのはほぼ発生しないのです。
まとめ
ほとんどの状況下では全期間固定金利を選ぶ場合に
団信特約料を自分で支払ったとしても・・・
フラット35 > 民間銀行
フラット35の方が総返済額がお得になるのです。
団信に加入しないのであれば、このお得差はさらに拡大することになります。
審査もフラット35の方が民間銀行の住宅ローンよりも通りやすいので、全期間固定金利で住宅ローンを比較する際にはまずはフラット35を優先して考えることをおすすめします。